4月1万0800円、年末1万1000円へ 専門家に聞く2013年の日経平均予測

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例年、株価は4月第1週前後に高値を付ける。日銀にはすでにインフレ目標2%の導入を迫るなど圧力をかけているが、安倍新首相の日銀に対する攻勢が目立つのは新総裁人事が決まる4月までだろう。日本企業の決算対策の売りが3月20日前後に収まり、4月は買い優勢の状況となる季節性もある。年金の新年度の買いも入る。13年の株式相場は、春までは現在の勢いを維持するだろう。

参院選前後に不透明感高まれば7月に9000円割れも

その後、夏に向けては下落基調となる。転換点は、ヘッジファンドの中間決算期にあたる5月だ。12年10月の日銀政策決定会合で決まった日銀から銀行への新貸出支援制度を使えば、外銀が日銀から資金を借り入れ、ノンバンク経由でヘッジファンドなどに融資することが可能だ。

ヘッジファンドの円キャリートレードが増え、円売りポジションが積み上がるのではないか。だが、後述の「悪い円安」が起きる懸念や、中間決算を前にヘッジファンドが取引を巻き戻す可能性を考えると、5月には逆方向へ猛烈なスピードで円高、株安に振れるリスクがある。

加えて、7月には参議院選挙が予定されている。前回の安倍内閣でもそうだったが、ここから先は、選挙用に掲げたスローガンのうち、与党になって出来ること、出来ないことがはっきりしてくる。

また、今回は、前回と違って投票率が低く、比例区では自民党はさほど勝ったわけではない。参議院では国民の投票行動として揺り戻しが起きる可能性が高い。政治の不透明感が加わり、日経平均は7月に最安値をつけるだろう。9000円を割り込む可能性もあるとみている。

その後は、世界経済の回復とともに、株価も回復に向かう。米国経済は緊縮財政などで、年前半は緩慢な回復にとどまると見られるが、後半は実質GDP成長率が2~3%台に改善するだろう。

日本も上期に補正予算を組むことで、前年比1%成長に乗る可能性がある。中国との関係悪化は長引く恐れがあるが、中国を除く外需が、年後半にかけて回復してくるだろう。再び、連続的な金融緩和が打たれるだろうから、これによる円安が加われば、年末にかけて、日経平均株価は1万1000円程度まで上昇しそうだ。

次ページ踏まえておきたい3つのリスクとは・・・
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