専業主婦も退職金がもらえる?しかも無税で 確定拠出年金でケースによっては1000万円も

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さらに確定拠出年金には、別のメリットもあります。それは確定拠出年金で購入することができる投資信託の手数料(信託報酬)が、かなり安いということです。

一概には言えませんが、ほぼ全カテゴリーにわたって確定拠出年金専用投信の手数料は安く、中には同じカテゴリーで市販の投信の2分の1以下というものもあります。

手数料は税金同様、資産運用にとっての大きなコストですから、長い期間にわたって積みあがっていく差はかなり大きなものになります。

専業主婦でも受けられる退職所得控除ってなに?

そして個人型確定拠出年金は、最終的に受け取るときにも税制優遇があります。それが「退職所得控除」です。これは本来、企業に長年勤めていた従業員が退職するにあたって、もらう退職金に対して設けられる税制優遇です。

退職金というのは言わば「給与の後払い」に相当するもので、しかも長年勤めたことによって得られる所得ですから、他の所得とは区別して税の優遇をつけているのです。

したがって、本来であればサラリーマン=給与所得者に対して与えられる税制優遇なのですが、個人型確定拠出年金の場合は、別にサラリーマンではなくて、自営業や専業主婦の場合でもこの退職所得控除が受けられます。いわば自分でこしらえた退職金に対する税制優遇の特典ということなのです。

では、退職所得控除は具体的にどれぐらいの金額なのでしょうか。掛金を納めた年数ごとに、20年目までは40万円、その後は年70万円ずつ、税のかからない枠が積み上がっていきます。したがって30歳から60歳まで30年加入を続けた場合、1500万円までは、受け取り時にまったく税金がかかりません。

たとえば、専業主婦がパートで働いたおカネの中から個人型確定拠出年金へ、上限一杯積み立てたとします。専業主婦などの場合の積み立て上限額は月額2万3000円ですから、企業年金のない会社に勤めるサラリーマンと同じく、年間の限度額は27万6000円となります。

これなら税金や社会保険料のかからない範囲内で、パートで働いた金額から積み立てることは可能です。

もし30歳から積み立て始めて60歳まで30年間積み立てると、積み立て累計額は828万円。仮に2%で複利運用できた場合の金額は1133万円。1%の場合でも965万円です。いずれの場合でも、60歳時点で一括して受け取れば、税金はまったくかかりません。

仮に同じ金額、確定拠出年金を使わずに積み立てて毎年2%で回した場合、元利合計額から税金が引かれて、手取りは1061万円になります。その差は72万円、1年間あたり2万4000円になります。年収を130万円未満に抑えている専業主婦(3号被保険者)にとって、これはけっして小さな金額ではありません。

つまり専業主婦でもパートで働けるのであれば、自分で稼いだ中から、無税の制度を利用して積み立て、「自分退職金」をこしらえることができるというわけです。来年1月から新しく始まる個人型確定拠出年金制度は、主婦にとっても利用する価値のある制度といえるのではないでしょうか。

大江 英樹 経済コラムニスト、オフィス・リベルタス代表

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おおえ ひでき / Hideki Oe

大手証券会社で25年間にわたって個人の資産運用業務に従事。確定拠出年金ビジネスに携わってきた業界の草分け的存在。日本での導入第1号であるすかいらーくや、トヨタ自動車などの導入にあたりコンサルティングを担当。2003年から大手証券グループの確定拠出年金部長などを務める。独立後は「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるよう支援する」という信念のもと、経済やおカネの知識を伝える活動を行う。CFP、日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『自分で年金をつくる最高の方法』(日本地域社会研究所)、『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)などがある。

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