路線別「通勤定期&通学定期比率」ランキング 首位は意外な路線、比率の違いで収益に変化
地方に住むサラリーマンにとっては、鉄道で通勤するよりも自動車通勤のほうが便利なことが多い。この傾向は国勢調査などからもはっきりと確認できる。反面、自動車運転できない高校生は通学手段として徒歩、自転車、そして鉄道に頼らざるを得ない。通学定期比率が70%を超える路線というのは、まさに朝夕の通学時間帯に存在意義を発揮する路線といえる。
地方の中小鉄道会社の経営はどこも厳しい。ランキングに登場した通学定期比率の高い路線を抱える会社も例外ではない。2013年度の各社決算を見ると経常黒字なのは大手の東武を含む4社しかない。
こうした会社の業績不振は、通勤定期や定期外を含めた利用者全体の減少が理由である。その意味では通学定期利用者は料金こそ安いとはいえ、鉄道を使ってくれるありがたい存在だ。通学定期を値上げして収支改善するという方策はあり得るのだろうか。
公費での補助が地方鉄道を救う道?
「通学定期が家計の圧迫要因となり、自転車に切り替えたり親が自動車で学校へ送り迎えしたりするという例が増えている」と、ある地方鉄道会社の社長は言う。こういう状況で収益増を狙って通学定期を値上げすれば、かえって利用者が離れてしまいかねない。
単なる値上げでは逆効果だが、別の方法はある。東京交通短期大学の藤井大輔准教授は、「現行の運賃制度では通学の輸送量が増えても収入の増加に結びつきにくい。そこで通勤定期との差額を公費で補助できれば、地方鉄道の経営は改善する可能性がある」と言う。藤井氏が運輸調査局の渡邉亮氏と共同で行った調査によると、通学補助の割引率に相当する金額を補助することによって、年間3億円程度の補助で地方鉄道事業者のうち1割以上の事業者を黒字化することができるという。
ただ、特定の路線を公費で補助することには、反対の意見もありそうだ。地方に住む通学者を支援することをどのように意義づけるか、議論が必要だろう。
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