逮捕20回超、83歳「盗み続ける老婆」の頭の中 家族にも資産にも十分恵まれているのに
前回出所してから2年ほど、家族はさと婆が二度と盗みを働かぬよう、必ず外出に同行していたという。だが、今回の事件は、さと婆が初めて一人で外出したときに起きてしまった。裁判では、家族からの「(次の)出所後も面倒を見る」「お婆ちゃんが好きなプロレスに連れて行ってあげたい」などのコメントが読み上げられた。
検察官から、家族を裏切ったことをどう思うかと問われ、さと婆は「死んでもお詫びできない。申し訳ないと思っています」と涙をぬぐった。
さと婆は、刑務所に入る度に「絶対に人のものに手をつけないように」と思ってきたという。それなのに、なぜ同じことを繰り返してしまうのか。裁判官から尋ねられ、さと婆は「今度こそ、いたしません。1日でも早くつぐないをしたいです」と話す。
しかし、裁判官は続ける。「質問の答えになっていません。どうして同じことを繰り返してしまうのだと思いますか」。
「1日も早く刑務所に行きたい」
うつむき、黙り込んでしまったさと婆。長い長い沈黙の後、「手が出ちゃうんです……」と悲痛な声が法廷に響いた。
「原因を考えないと、一生同じことの繰り返しになってしまうのですね」
「あなたが財布を盗まれたらどう思いますか」
「手が出るときに、いけないと考えられないのですか」
「考えの中にどこか歪んだものがあるから直らないのではないですか」
裁判官から投げかけられる厳しい言葉に、さと婆の背中はどんどんと丸くなっていった。
検察は懲役4年を求刑。「懲りることなく犯行に及んでおり、規範意識が鈍磨している」などとし、再犯の可能性が高いと指摘した。一方、弁護側は、高齢であることから再犯の可能性は低いと反論、情状酌量を求めた。
最後に発言を求められた、さと婆は「1日も早く刑務所に行きたいです」と語った。判決は6月13日に言い渡される。
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