遠藤功「なぜ今、中堅企業なのか?」

ニッポン中堅企業の秘めたる爆発力

3つ目は、中堅規模であれば、特別なカリスマ経営者でなくても、堅実な組織運営は十分に可能である点だ。残念ながら、日本では「巨艦」を牽引するだけのカリスマ性を備えたリーダーは生まれてきにくい。

その一方で、現場との距離感が近く、一緒に汗をかきながら、組織を束ねていくことができる実務家的経営者は存在する。日本的経営者の特性や「器」の大きさを考えても、中堅規模というのはそれなりの合理性がある。

そして4つ目は、中堅企業はもともとそれほど大量の人を採用せず、精鋭主義で運営するため、大企業と比べると「ぶら下がり社員」を抱え込みにくいことである。それが「全社員戦力化」を生み出し、組織の活性化にもつながる。

一方、多くの大企業は「ぶら下がり社員」という“贅肉”を抱え込み、それが大きなオーバーヘッド(管理費)となり、収益を圧迫する。さらには、組織の沈滞化も生み出している。

このように、日本の中堅企業が元気で、高い業績を挙げているのには、それなりの合理的な理由がある。日本企業が熾烈なグローバル競争を勝ち抜くためには、企業の「適正規模」というものにもっと目を向ける必要があるのだ。

「体格」ではなく、「体質」で戦う

そもそも日本の産業構造の最大の特徴のひとつは、こうした個性的な中堅企業が数多く存在していることだ。たとえば、かつて「斜陽産業」と呼ばれた繊維産業の各社は、懸命な自助努力によってしたたかに生き残り、異質性の高い独自企業が数多く生まれている。東レと旭化成は売上高1兆5000億円程度だが、それ以外は売上高数千億円の中堅企業が多い。

たとえば、クラレは液晶テレビの偏光板のもとになるフィルムで世界の8割のシェアを握っている。東洋紡は血糖値測定などに使われる診断薬の原料で世界一のシェアを誇っている。また、日清紡ホールディングスは自動車用ブレーキ部品が業績を下支えしている。

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