遠藤功「なぜ今、中堅企業なのか?」 ニッポン中堅企業の秘めたる爆発力
いずれの会社も売上高は3千億円台だが、独自の路線を切り拓き、地味だがしたたかに独自の優位性に磨きをかけている。こうした中堅規模の「優良体質」の会社が数多く存在し、産業集積をつくっている国は、世界を見渡しても日本とドイツだけである。
素材から部品、完成品、さらには販売やサービスまで、上流から下流まで一貫した集積を持つのが、日本という国の強みだ。日本という国の産業競争力を復活させるためには、いかにして産業集積を残すかという視点がとても大切である。
その際の肝になるのは、独自性の高い中堅企業の国際競争力をいかに高めるかにある。「世界で戦うには規模が必要だ」という理屈は一見正しいように聞こえるが、「体格」勝負で勝ち残れる会社は最後には1社だけである。
たとえ、「体格」で劣っていても、「体質」のよい会社は必ず勝ち残ることができる。規模は小粒でも、特色があってきらりと光る企業、つまり「体格」ではなく「体質」で勝負できる企業をどれだけ育て、増やすことができるかが日本という国の産業競争力を決めるといっても過言ではない。
巨艦企業だけに依存しない産業構造をつくる
売上高10兆円の会社1社に頼るのではなく、売上高2000億円の「体質」のよい会社を50社育てる。社員20万人の会社1社に頼るのではなく、社員4000人の活性化した会社を50社育てる。巨艦企業だけに依存しない産業構造をつくっていくことこそが、日本という国の独自性を活かす道でもある。
これはけっして製造業だけに限らない。サービス業や流通業においても独自の強みを持つ個性的な会社を育てることが大切だ。
それでは、世界で勝ち残ろうとする日本の中堅企業は今何を考え、何をしようとしているのか?
次回以降は特色ある中堅企業を具体事例として取り上げ、勝ち残るための経営の在り方について考えていきたい。
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