《それゆけ!カナモリさん》製品特性分析でノンワイヤーブラとカラオケについて考えてみた

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《それゆけ!カナモリさん》製品特性分析でノンワイヤーブラとカラオケについて考えてみた

米国の著名な経営学者フィリップ・コトラー氏の考案したフレームワークの中で、「STP理論」ほど有名ではないが、実は有用なのが「製品特性分析」である。

製品の持つ価値を、「中核」「実体」「付随機能」という3つの階層に分解して、その意味合いを明確化したもので(下の図)、


・中核=その製品を手に入れることで実現される中心的な便益(ベネフィット)
・実体=中核を実現する上で欠かすことのできない要素
・付随機能=中核の実現には直接影響を及ぼさないが、存在することで魅力を増す要素と定義される。

このフレームワークをアタマに入れておくと、企業が新製品やサービスを発表したときなどに、その意図や位置づけを推察しやすい。競合動向の分析などにも役立てられる。試しに、手元の新聞から幾つか記事を拾ってやってみよう。

■実体価値を改善し、新たなニーズを掘り起こす-ブラジャーとテープカッター

 まず、1つめがブラジャー。「無印良品」を展開する良品計画が、3月に発売した女性用下着について紹介している(良品計画「ノンワイヤーブラジャー」--縫い目減らし、着心地良く(ヒットのヒミツ) 『日経MJ』2012年4月25日付)。

製品化コンセプトは「リラックスできる下着」であるという。その実現のため、素材は、「綿100%の『綿フライス』と『綿リブ』、綿90%にポリウレタン10%が入った『ストレッチ天竺』」の3種類とし、一般的なブラジャーは「ポリエステル製が多いが、カップの内側や肩ひもにも綿素材の素材を使った」。また、「縫い合わせる布の枚数を少なくするなど工夫して、肌に当たる縫い目も減らした」結果、「着心地やかぶれを気にする女性に受け」、売上は計画の3倍のスピードで推移しているという。20~30代の若い購入者を取り込むことにも成功したとのこと。

ブラジャーの「中核」価値は、「バストを保護し、美しいカタチにすること」だろう。その意味においては、この「ノンワイヤーブラジャー」も変わらない。しかし、それをどのように実現するかという「実体」価値の部分を徹底して改造し、成果を出した好例と言っていい。

 

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