絶好調続くREIT相場は、年内に必ず下落する マイナス金利幅拡大でも上昇余地は限定的
ところが実は、REIT市場はマイナス金利の状態をストレートに反映しているのではない。すなわち、現在のように長期国債利回りがマイナス0.1%程度にまで低下した場合、これに過去のスプレッド水準を上乗せして求めた期待利回りをベースにすれば、東証REIT指数は2400ポイント以上となるはずだが、実際にはそこまで上昇していない。
「それならば、未だ上昇余地がある」と考える人もいるが、これは拙速すぎる。なぜなら、REIT市場には、株式市場とは決定的に異なる点があるからだ。
マイナス金利導入以降の相場上昇は証券会社が主導した。ところが、それに単純に乗っかる国内投資家は少ないために、期待したほどの相場上昇にはならないのだ。
REIT市場は、外国法人・証券会社(自己取引)・国内個人・金融機関・投資信託の5者によって取引の90%以上が占められている。それぞれがREIT投資の経験が比較的豊富であり、必ずしも単純な見方で投資を行なわない。彼らは証券会社の発信する情報に対し懐疑的で、独自に相場の趨勢を冷静に読みつつ自己のポジションにマッチした投資判断を行う傾向がある。
長期保有には適さない配当利回り水準
REITが株式と投資商品として大きく違うのは、株式のように市場での売買によって投資利益を得るのではなく、保有することで配当金収入を得る、配当期待の利回り商品という側面が強いことだ。
つまり、投資口価格が低い時に購入したほうが配当金利回りを高く取れる(REIT創設の初期に購入した場合は年6.0%以上の配当利回りが得られている)ので、投資家は低い投資口価格で購入した分については長期保有を行っている。
現在、上場全銘柄の平均予想配当利回りは3.6%前後になっている。これに対して、長期投資を行っている投資家のポートフォリオ利回りは概して4.0%超はある。つまり今の水準の配当利回りでは、投資家は長期保有せずに短期売買でリスクをヘッジしながらキャピタルゲイン(売買益)を追求する投資形態になる。
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