「土間土間」バーガーは"非常識の塊"だった 居酒屋ハンバーガーは3種セットで690円!

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一般的に居酒屋はひとつのメニューだけで採算を考えるわけではない。土間土間は2~3人のグループ客が多く、1人当たり2~3品注文し、3000円を切るぐらいが平均客単価だ。ひとつのメニューで儲からなくても、ほかの商品を含めた全体で採算が取れさえすればよいわけだ。「バルバーガーは人気も高いですし、価格も変えず、継続的に提供していきます。ただしグランドメニューに入れず、季節限定でさまざまなバーガーを提供するほうが面白いと考えています」(山田部長)。

“体験価値”は、総合居酒屋である土間土間にとって、近年、大きな課題となっている。というのも、ここ数年、肉、魚、チーズといった専門居酒屋が台頭してきているためだ。しかも客単価5000円あたりから居酒屋に近い4000円台、3000円台と、価格も下がってきており、価格面でのすみ分けがあいまいになっている。「さまざまなメニューがそろう」「価格が安い」だけでは、勝てない時代になっているのだそうだ。

試行錯誤の末、高級志向に転じた時期も

そうした時代の流れを受けて試行錯誤を繰り返しているというのが、現在の多くのレストランや居酒屋チェーンの現状なのだ。土間土間は2001年の創業以来、若者をターゲットとし、リーズナブルな価格を売りにしてきた。いったん戦略を変更し、商品価値とともに1皿あたりの単価を上げたメニューを加えた時期がある。

土間土間ブランドディレクション部の山田英明部長

「でもやはり、1品1品が安くて、さまざまな料理が楽しめる、というのが土間土間の魅力です。現在、価格は元に戻しています。新たに取り組んでいるのが“ライブ感”の演出です。お客様の目の前でソースをかける、あぶる、蒸す、といったメニューを増やし、ライブ感を味わってもらいたい。この方法ですと、お客様とスタッフのコミュニケーションがより重視されるので、スタッフのモチベーションを高めることにもつながります。また、こだわり食材を取り入れることで、“○○を食べに土間土間に行こう”といった目的来店のお客様を増やしたいと考えています」

実行するにあたり、特にこれからの大きな課題となるのがスタッフ教育だろう。本部の思いを、全国185店舗(4月末現在)の現場スタッフにいかに理解してもらえるかがカギになる。「バラエティ」「低価格」の先にある、土間土間ならではの価値を目指し、挑戦はまだまだ始まったばかりだ。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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