新幹線の製造、競合5社のうちトップはどこか JR各社ごとにシェア激変、新興勢力も台頭
JR各社を個別に見ていこう。まずは日本の大動脈、東海道新幹線を擁するJR東海。同社の新幹線のメーカー別シェアでは日本車輌製造が圧倒的に強い。
同社は愛知県内に本社や工場があるため、JR東海と地域的なつながりが強いという側面はある。だが、それだけではない。2008年にJR東海は、日本車輌製造の株式50.1%を取得、子会社化に踏み切った。
当時、同社の業績は下降線をたどっていた。子会社化前の2007年度は54億円の最終赤字。JR東海の傘下で安定的に新幹線を受注したいという狙いが日本車輌製造にはあった。JR東海は同社への新幹線発注を大きく増やし、経営は息を吹き返した。
あおりを受けたのが川崎重工業だ。JR東海からの発注は2008年から減少。2010年度以降、JR東海向けの新幹線製造は途絶えてしまった。現在は、日本車輌製造と日立の2社だけがJR東海の新幹線を製造している。
JR西日本では川崎重工業がほぼ半分を製造
日本車輌製造への発注を優先するJR東海と異なり、JR西日本のメーカー別新幹線製造シェアを見ると、川崎重工業がほぼ半分の車両を製造し、残りを日立、日本車輌製造、近畿車輛の3社で分け合っているという構図だ。「当社はいろいろなメーカーと安定的にお付き合いする方針」と、真鍋精志・JR西日本社長は語る。
ただしJR西日本は近畿車輛との結び付きも強い。同社は近畿日本鉄道の子会社ながら、森下逸夫社長はJR西日本出身だ(次期社長就任予定の岡根修司氏は近畿日本鉄道出身)。2012年にはJR西日本が近畿車輛に5%を出資した。今後も同社に対してさらに出資比率を拡大し、発注数を増やす可能性はあるのか。
真鍋社長は「今は考えていない」と前置きしつつも、「タイミングが合えば」と、将来の関係強化に意欲を見せている。新幹線ではないが、在来線におけるJR西日本の戦略車両「トワイライトエクスプレス瑞風」は川崎重工業と近畿車輛が製造を分け合っている。
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