存続なるか 日の丸造船業 迫り来る「2014年危機」

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需給ギャップは深刻 韓・中との競争熾烈に

 こうしたアジア勢の設備新設・拡張によって、業界の供給能力(=建造能力)は一挙に膨れ上がった。その規模たるや、年間1・1億総トン超。一方、12年の新船発注量はせいぜい三千数百万総トンと見られており、供給能力は足元の需要の3倍にも及ぶ計算だ。「異常としか言いようがない。再び造船バブルでも起こらないかぎり、この需給ギャップは到底埋まらない」(日本造船工業会の桐明公男・常務理事)。

新規の需要が細る中、すでに設備を持て余した中国、韓国勢は、採算度外視の受注に走っている。日本の造る船は品質や省エネ性能で勝るため、必ずしも同じ価格にまで下げる必要はないが、「限られた仕事に日、韓、中の造船所が殺到しているので、発注側から容赦なく値切られる」(三井造船の岡田正文・常務取締役)。ライバルの数は、過去の第1次、第2次不況時の比ではない。

にわかに業界の危機感は高まり、生き残りに向けた新たな動きも出始めている。

「ある程度の規模なしには、韓国、中国勢と戦えない。規模の効果で資材調達費を削減する一方、省エネ船の開発により多くの技術者を投入する」。今年12月に合併する、IHIマリンユナイテッドとJFE系のユニバーサル造船。新会社の社長に就くユニバの三島愼次郎社長は、合併会見で危機を強くにじませた。

ユニバ、IHIマが合併 三菱重は客船を柱に

 両社は08年春に合併の検討開始を表明。狙いは需給逼迫下での建造能力拡大にあったが、思惑の違いなどからやがて実務協議は途絶え、合併構想は立ち消えに。その後、海運バブル崩壊で事業環境は激変、11年秋に協議を再開して合意に至った。当初の合併検討表明から4年の間に、再編の目的は「成長・拡大」から「生き残り」へと様変わりした。

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