「もんじゅは危なすぎる、廃炉するしかない」 伴英幸・原子力資料情報室共同代表に聞く

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「もんじゅ」に関する市民検討会による記者会見(5月9日)。伴氏が委員長を務め、もんじゅの廃炉を求める提言を発表した

まずに、減容化を構成する要素技術が実用化されなければならない。しかし、これには数十年もかかるだろう。

減容化システムで想定されている「群分離」技術は再処理の一環だが、日本のような湿式再処理では、プルトニウム、ウランを抽出した後の高レベルの放射性廃液から、ネプツニウム、アメリシウム、キュリウムなどのマイナーアクチノイドと呼ばれる長寿命核種を分離抽出することが必要になる。

これは核拡散につながる恐れがあるとともに、環境への放射能放出を伴う。また再処理の過程では放射能で汚染された莫大な廃棄物が発生する。そこまでしてマイナーアクチノイドなどを抽出したうえでプルトニウムと混ぜて燃料集合体を作り、それに高速炉で中性子を照射する必要があるとは思えない。

それに加えて、マイナーアクチノイドが効率よく核分裂するとは限らない。群分離・核変換はマイナーアクチノイドの減少だけに着目したものだが、核燃料に添加したマイナーアクチノイドが減少したとしても、高速炉の中でウラン239が中性子を吸収することで新たにマイナーアクチノイドが生み出されてくるので、総体として減少する量は多くない。このように、群分離・核変換は意味のある行為だとは思えない。

核燃料サイクル見直しにも波及

政府の「エネルギー基本計画」では、もんじゅの第一の役割として「廃棄物の減容・有害度の低減」を挙げている。だが、もんじゅでは酸化物燃料が使用されるので、マイナーアクチノイドの核変換を目的とした高速炉よりも中性子エネルギーは低く、核変換の効率は悪い。そのため、減容化としての意味ある成果にはつながらない。

――もんじゅを廃炉にした場合、どのような影響が生じると思われますか。国策として進められている核燃料サイクル政策にも影響が及ぶのでしょうか。

高速増殖炉をやめることになると、再処理そのものが必要なくなる。現在、再処理は軽水炉を利用したプルサーマル発電のために進められているが、高速増殖炉で将来使うことを前提にして初めて、プルサーマル発電に意味があると言われている。

その流れが断ち切られた場合、コストが高く非効率なプルサーマル発電のために再処理を続けることになり、経済的に見ても成り立たないことが明らかになる。そうなると困るので、もんじゅを続けているふりをしているのが現状の政策だ。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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