足元の薄商いは「モミ合い放れ」が近い前兆だ 「上昇か調整か」を決める6月の経済イベント

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OPEC総会、米国の利上げ観測、英国の国民投票と大きな材料を前に株式市場は見極めムードにある(写真:cassis/PIXTA)

5月の日本株は1万6000円台の踊り場が続いている。G7首脳会議(伊勢志摩サミット)に向けての政策期待が下支えしているものの、上値を追う動きは限定的にとどまっている。ただ、6月に入ると重要イベントが控えており、日本株のモミ合い放れのきっかけになりそうだ。

2月以降の日経平均株価のチャートをみると、上値と下値が徐々に収斂する「三角保ち合い」を形成している。通常のパターンとして、①最低でも5回の振幅を繰り返し、②その間の売買代金は縮小し、③いずれ上下どちらかに大きく振れる、という特徴が挙げられる。

24日の東証1部売買代金は今年最低

日銀金融政策決定会合での追加緩和が見送られた4月末の日経平均株価は1万6666円。5月初旬にドル円が一時105円台まで円高となった流れを受け、日経平均株価は一時1万6000円割れまで下げたものの、足元では1万6500円前後でのモミ合いが続いている。

5月24日の東証1部売買代金は1.66兆円と今年最低だった。4営業日連続で2兆円台を下回るのは昨年の大納会以来のおよそ5カ月ぶりで、市場参加者が先々のリスクに備える様子見姿勢が強まっている。ただ、「三角保ち合い」において足元の薄商いは定石通り。日本株の方向感は乏しくなる一方で、モミ合い放れが近づいている前兆ともいえる。

6月2日、石油輸出国機構(OPEC)総会が開催される。原油相場の先行きを巡っては「主要産油国は増産凍結に慎重で、総会をきっかけに原油価格は再び下落に転じかねない」と懸念もくすぶる。米シェールオイルが減産傾向をたどり、カナダのオイルサンドが一時的に落ち込んでいるものの、サウジアラビアを中心とした供給圧力は依然根強い。

WTI原油先物は2015年6月高値61ドル台から2016年2月安値26ドル台まで大崩れした。その下げ幅(約35ドル)に対し61.8%戻しや3分の2戻しが48~49ドル前後となり、足元は同水準で一進一退を繰り返している。ここからの上値はやや重いとみられる。

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