「パナマ文書」に載った日本人・企業の"事情" タックスヘイブン活用の意外な本音が明らかに

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美容室「モッズ・ヘア」を展開するジャスダック上場企業、エム・エイチ・グループは、2015年秋にタックスヘイブンの英領アンギラ島に法人を設立。その目的をエム・エイチ・グループの小林繁之取締役は「日中関係が悪化したとき、日本の会社だとわからないようにタックスヘイブンを経由した」と説明する。

ただ、実際に4月に北京に進出する際には、フランチャイズ契約を結んだ中国企業を活用した。「タックスヘイブンの会社を経由すると手間やコストがかかるため」(同)。使わなかったタックスヘイブンの法人は清算する方針だ。

複数のアジアの国で展開するために活用

日本製紙は、YFYケイマン社に出資している企業として、名前が挙がった。同社は台湾最大の製紙会社、YFY(台湾名、永豊餘造紙)のグループ会社である。

日本製紙は海外での板紙・段ボール事業を強化するため07年にYFYと戦略的業務提携を締結。YFYのほうから、板紙・段ボール事業の持ち株会社に出資しないかという要請があり、2010年に20%強、1億ドルを出資した。

その後、日本製紙は東日本大震災で被災した石巻工場を再建するために巨額の資金が必要になったことなどから、2013年にYFYケイマン株をすべて売却したのである。

ケイマン諸島にYFYが法人を設立したのは、台湾の会社が中国やベトナムなどの社会主義圏で事業を展開するにはタックスヘイブンを活用したほうがよい、という判断があったためとみられる。そのほうが法人設立手続きが容易に進むからだ。

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