iPhone7は3種類?「モデル急増説」は本当か 成熟期に対応したビジネスモデルを模索
4月、香港においてGlobal Press Conference(GPC)2016というイベントが開催された。これはドイツのメッセベルリンが、世界最大の家電展示会であるIFAのプレビューとして実施しているもので、世界50カ国以上から400人近いプレスおよびアナリストを招待して行う会議だ。
gfkが提供する前年度までの市場数値と今後の予測を元に会議が進められるが、その中で話題のひとつとなったのが、世界的な中産階級人口の増加だ。”増加”と書いたが、予想値を信じるならば”爆増”と言ってもいい。
現在約73億人の世界人口は、2020年に78億人、2030年に85億人まで増えると予想されている。一方、OECD(経済協力開発機構)によると、中産階級人口は現在の18億人から2020年に32億人に急増。2030年には49億人に達する。世界人口に対する比率は、それぞれ24%から41%、58%にまで増える計算だ。
増加の主因は(中国を除く)アジア地区および中東、アフリカの一部。エレクトロニクス製品の売上げが、先進国で上げ止まりとなり価格競争や買い換えサイクルの長期化で緩やかに下がっていく一方、中産階級人口が増える地域での売り上げは増加する。
伸びるのはアジアと中東
とりわけ2016年に注目されているのはアジアと中東。それぞれ22%、16%の成長とgfkは発表した。その一方で、中国市場の成長が3%まで落ちるという。
先進国でのスマートフォン売り上げが、製品買い換えサイクルの長期化や普及率増加にともなって緩やかに落ちていく中、中国も急成長は見込めなくなってきた。しかし、gfkはこうした中産階級の急増によって、中東、インド、東南アジアを中心に、アフリカも含めた地域でスマートフォン需要が増加すると予想している。
OECDの予想通りに中産階級人口が増えていくならば、今後の成長はそうした地域に移っていくだろうが、その過程でスマートフォンの平均価格は下がっていく。中国でのスマートフォン普及初期がそうであったように、この場合、高級機のみの製品構成では新規顧客獲得が難しくなってくる。
今年春に発売されたiPhone SEは、旧世代(iPhone 5S)のシャシー構成を元に、最新性能のプロセッサとカメラを搭載。中価格帯製品に設定した。すっかりスマートフォンが普及した先進国において、iPhone SEは画面が小さくなった中価格帯のバリエーションモデルという位置付けだ。
たとえば日本では、いまだ半分近くの端末がフィーチャーフォンと言われる中、フィーチャーフォンからの買い替え需要を受け止める端末として、アップルの日本法人は訴求している。ただし、アップルの思惑なのか、当初からの販売計画の見込み違いなのかは不明だが、販売店では品薄が続いている。単価の低いiPhone SEをどのように扱うかについては難しい側面もある。
しかし将来、このiPhone SEシリーズ開発の経験は、新たに中産階級が増加する地域における戦略的なモデルとして見すえていくためには必要なものになるだろう。iPhone 7が、本当にクックCEOの言う通りの画期的な製品だとするなら、”新中産階級”に加わる新しい消費者を、上位のiPhone端末へとユーザーを導く重要な役割を果たすことになる。
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