レクサス超高級クーペ「LC」は何がスゴいか 社内組織刷新の意図も読み解く

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「この制度のいいところは、フットワークが軽いことです。2年程度の短期的な戦略であれば、トヨタ自動車という大艦隊におうかがいをたてずに、私とEVPの澤や山本で相談して決定できる。迅速な対応が必要な時代に、適しています」と福市氏は言う。

レクサスブランドを率いる福市氏は、1951年生まれの65歳。30年前の1985年に北米デザインセンターCALTYに在籍していた時代に、レクサスの立ち上げを経験した。いったん、関東自動車に出向したのち、2011年にトヨタ自動車に復帰する。

面白いことに、トップの福市氏はデザイナー出身であり、澤氏はデザイン畑の人間だが、チーフエンジニアも務めた経験を持つ”ハイブリッド”な人材。山本氏は技術畑の人材で、重要な車種のチーフエンジニアを歴任している。また、初代「LS」が北米に初上陸を果たした際に現地で受け入れ検査をした経験を持つなど、レクサスとの縁も深い。

新体制では生産と人事が加わった

そして新たに発表された体制では、「レクサスインターナショナル」に生産と人事が加わった点が特徴的だ。福市氏が言う。

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企画段階から、生産の要素を入れられるようになるようだ

「企画段階から、生産の要素を入れられるようになります。従来は、技術本部と営業部門の合意で進めてきましたが、今後さらに品質を高めるにあたっては、早い段階から生産部門がかかわることが欠かせません。

設計が出来上がってから品質を保つ依頼をするのではなく、製造現場からの意見を生かして、品質を保つために適した設計を工夫できます。実際、この組織が発表されてすぐに、生産部門から連絡があって、要望も出てきています。カンパニー制度によって小さな企業体における機敏な動きを生かすところもあると同時に、トヨタ自動車という大きな組織内でのカンパニー同士の連携を生かした効率のよい開発も行えます」

新体制の導入によってレクサスは一段の進化を遂げられるのかどうかだ。掛け声倒れにならず、実効性を伴うかどうかが今後試されてくる。

川端 由美 モータージャーナリスト
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