「芸術」で地方経済は変わる?佐賀大の新機軸 全入時代、地方大学の生き残りをかけた模索
「芸術の観点から地域に貢献できる人材への社会的要請が強まっている」。小坂智子学部長は、「地域」という名称が加わった理由をこう説明するが、「社会貢献・地域貢献」の一層の推進を求める文科省の方針に沿うものでもある。
芸術で地域をデザインするという切り口が魅力になったのか、受験者の出身地の傾向に変化がみられた。佐賀県出身者の割合は23.6%で、単純比較はできないが、前年度の文化教育学部の31.5%から減少。逆に福岡県出身者が34.0%から43.5%に増加した。
実際の就職先をどう開拓していくかが課題
大学側は、専門性の高さや総合大学としての学びの多様性をアピールするのに躍起だ。少子化で「全入時代」を迎え、大学間の学生獲得競争は激しさを増しており、生き残りを図るには独自色が欠かせない。
一方で、地域の将来やグローバル化を担う人材へのニーズの高まりとともに、国が大学に要求する役割は増すばかりだ。文科省は国立大学法人の人文学部系の見直しを掲げ、「社会的要請の高い分野への転換」をさらに求めている。
こうした傾向から「成果に対する評価が厳しくなる」という見方も学内にはある。大学は、美術教員や陶芸家、映像クリエーター、キュレーターなどを卒業後の具体的な進路に掲げるが、実際の就職先をどう開拓していくかを含め、大きな課題になってくる。
小坂学部長は「新学部で注目されていることもあり、卒業生の進路は当然重要。社会に貢献できる人材を育成することが結果として就職にもつながる」と強調する。学びの機会を丁寧に積み上げ、実績につなげたい考えだ。
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