野村HD、6期赤字の海外で大規模リストラ 頼みの国内も急失速、内憂外患が襲いかかる

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「市場環境の悪化は去年の夏から始まり、年明け以降に顕在化した。前人未到の状況になっている」(尾崎COO)。投資銀行業務への逆風が強まるにつれ、欧米の金融大手は、マザーマーケット(母国市場)への回帰姿勢を強めている。

それでも尾崎COOは、「マザーマーケットへの回帰はしない」と強調する。「フィープール(市場規模)が縮小し、儲からないからやめるという選択をする会社もあるが、ニーズがあるかぎり、収益性はある。欧米における野村のポジションは上がっており、いずれは対価を払ってくれるお客さんばかり。自信を持って続けていく」(同)。

1~3月期は国内を併せても赤字に転落した

ただ、波乱要因は少なくない。たとえば英国のEU(欧州連合)離脱問題。「仮に英国が離脱となれば、欧州経済の不確実性が高まり、ホールセールのマーケット全体に悪影響が出る」(スティーブン・アシュレー執行役員)。

2015年は「感謝の集い」を開催するほど好調だった、投資一任サービス(野村ファンドラップ)も、2016年に入って新規口座開設の動きが鈍化している(撮影:大澤誠)

また、これまでであれば、日本国内の個人向け営業が稼いで、海外の赤字をカバーしていた。しかし、年明け以降、国内の投資家マインドは冷え込んだまま。伸ばしてきた投資一任サービスでも、今年に入って新規口座開設の動きが鈍化している。

「今までの円安という追い風が1~3月は一気に逆風になった。足元は落ち着いているが凪の状態。追い風がない中でも資金を獲得できるか」と指摘するのは、野村をウォッチするアナリスト、ドイツ証券の村木正雄マネージングディレクターだ。

1~3月期の国内事業の税引き前利益は、前年同期の20分の1以下の43億円へ急減、全社では123億円の赤字に転落した。内憂外患が強まる中、欧米の大規模リストラで黒字定着が実現できなければ、次は国内のリストラも課題として浮上しかねない。

「週刊東洋経済」5月21日号<16日発売>「ニュース最前線02」を転載)

猪澤 顕明 東洋経済 記者

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いざわ たかあき / Takaaki Izawa

1979年生まれ。慶應義塾大学卒業後、民放テレビ局の記者を経て、2006年に東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、ニュース編集部などに在籍。2017年に国内のFinTechベンチャーへ移り、経済系Webメディアの編集長として月間PVを就任1年で当初の7倍超に伸ばす。2020年に東洋経済へ復帰、「会社四季報オンライン」編集長に就任。2024年から「東洋経済オンライン」の有料会員ページを担当。

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