矛盾だらけの郡山市放射性物質除染事業 330億円投入でも効果疑問
郡山市が進めようとしている住宅地の放射性物質除染事業をめぐり、住民から不安や疑問の声が相次いでいる。市では11月中旬の作業着手を前に、住民向けに12回にわたって説明会を開催したが、住宅の敷地内で汚染土砂を保管することへの不安や、ベランダやバルコニーの除染を行わないことへの疑問の声が多く持ち上がった。
除染後、目標まで空間線量を下げられるのか
郡山市は2012年度に約330億円を投じて、放射線レベルが高い地域の約4000件の住宅や店舗、駐車場、空き地などの除染を実施する。国の予算支出をもとに、12年度の一般会計予算1415億円の実に3割近くを除染事業に投入する計画だ。「年間の追加被曝線量を1ミリシーベルト以下(毎時0.23マイクロシーベルト以下)に下げることを目標」(郡山市原子力災害対策直轄室)に、除染作業に取り組む。本格除染を前にした10月17日から29日にかけて、開成、麓山、菜根、鶴見坦地区などの住民向けに説明会が実施された。
もっとも、除染によって、目標まで空間線量を下げることができるかは定かではない。先行して実施した池ノ台地区での「面的モデル除染」事業でも、庭などの平均空間線量(地上1メートル)は実施前の0.94マイクロシーベルトから0.49マイクロシーベルト(低減率48%)までしか下がらなかった。室内(高さ1メートル)では0.33マイクロシーベルトから0.24マイクロシーベルト(低減率27%)にとどまった。
今回の除染事業では、モデル除染で実施された屋根の吸引式高圧洗浄を「効果が乏しい」(市担当者)ことを理由に見送るうえ、効果が高いとされる表土除去を優先することと引き替えに、住民のニーズが多いベランダやバルコニーの除染も実施しない。
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