イキイキ勝俣会長と紛糾する株主、東京電力の株主総会は5時間30分の「すれ違い」、詳細レポート
ついに吹っ切れたのだろうか。6月27日に開かれた東京電力の第88回株主総会は午前10時に始まり、5時間30分の長丁場に及んだ。しかし、会長として最後の仕事に臨んだ勝俣恒久会長が妙にイキイキと場を仕切るなど、会社側は淡々と議事を進行。福島第一原子力発電所事故直後の悲壮感に満ちた昨年の総会から一転、今年は東電のドライさが際だつ総会となった。
昨年は9300人以上が詰め掛け、主要会場内に入れない株主が出たことを踏まえて、今年は1万2000人収容可能な東京・代々木の国立競技場第一体育館で開催。会場前では複数の反原発団体が旗を掲げて東電に抗議するなど、昨年並みに物々しい雰囲気に包まれた。
が、実際に株主総会に訪れたのは昨年を大きく下回る4471人。事故収束の道筋や会社存続の先行きが見えず切迫感のあった昨年の総会に比べると、株主のテンションも下がったのかもしれない。
猪瀬副知事の登場に拍手
とはいえ、昨年同様、開始から約20分で早くも緊急動議が発せられるなど、波乱の展開となった。
冒頭、勝俣会長が「ゼロから再出発する覚悟で徹底的な合理化を進める。再び信頼を取り戻せるよう最大限の努力をする」とあいさつ。次いで前年度の事業説明があった後、会社提案の議案を一括上程したうえで、質疑を受ける意向を示した。
これに対して、ある株主が例年通り個別上程するよう要請。同時に公平、公正に議事を進めるため、勝俣会長ではなく、筆頭株主である東京都(東電の発行済み株式の2.6%を保有)の猪瀬直樹副知事に総会の議長を変わるように動議を発した。
しかし、勝俣会長は「ハイハイ、動議ですか」、と動じることなく、さっさと採択して否決。この後も何度か緊急動議や修正動議が発せられたが、昨年の総会で“動議慣れ”したのか、今年は動議の仕切りもお手の物だった。
その後、原子力損害賠償支援機構に対する優先株発行による第三者割当増資など国有化にかかわる定款変更など会社提案の議案1~4号を説明。これに続いて、株主提案による11にも上る議案の説明がそれぞれの株主からなされた。