「本当のお金持ち」は暴落にも全く揺るがない チャートに踊らされず本質を見抜く投資哲学
簡単に説明しますと、PERとは「会社の時価総額を会社の純利益で割った値」です。もしわかりづらかったら、次のように考えていただいても構いません。
株価が1000円で一株あたりの純利益が40円なら、PERは25倍。25倍という数字が意味するのは「この会社の株を買ったら、投資資金の回収に25年かかる」ということです。
「PERが低いほど株価が割安である。だから買いだ」ともいえますし、逆に「PERが高いほど市場がその企業の成長力に期待している。だから買いだ」ともいえます(純利益が小さいのに株価が高いとPERが高くなるため)。ちなみに東証1部上場銘柄の平均PERは約15倍です。PERは業界によって水準が異なる特徴があり、IT企業の場合は50倍、100倍ということもありますし、建設業や不動産業では5倍、10倍ということもあります。
PERの大きな欠点とは?
たしかに株価の割安感や成長力をはかるひとつの指標ではあり、ファンダメンタルズ分析で最も重要な指標だといわれることもあります。ただ、PERの大きな欠点は、その指標の基になる企業の純利益が1年ごとに大きく変動する可能性があることです。過去数年でPERがどう推移しているのか、同じ業界と比べてどうなのかといった精査をしないと判断を間違える可能性があります。
一方のPBRは、いたってシンプルな指標です。
具体的には、
または、
純資産とは資本金や利益余剰金のことで、いまその会社が解散したとしたら、いくらお金が残っているのかを示すもの。正式には株主資本といいます。理論上、PBRは「1倍」が基本ですが、実際に東証一部の平均は1.1倍程度となっています。
1倍というのは、実際に会社が持っているお金と、市場が決めた会社の価値が釣り合っている状態のことを指します。PBRが低い会社(1倍に近い会社)は「割安な株」と判断されますし、逆にITセクターのように資産は少なくても収益率が高い産業の場合、PBRが高くなります。
さて、前置きが長くなりましたが、中長期の投資に長けた人は、後者のPBRを重視します。毎年コロコロ変わる純利益を基に計算されたPERよりも、PBRはより永続性のある指標だからです。たとえば、企業が一回赤字決算をしようものならPERは最悪です。でも、実際企業は一回の赤字くらいで資産(バランスシート)は大きく変わりません。
PBRはバランスシートしか見ていませんので、時代の移り変わりや市場の気ままなムードなどに左右されにくい指標なのです。ちなみに阪神電気鉄道の敵対的買収で世間を騒がせた村上ファンドは、完全にPBR狙いでターゲットを探していました。同社以外にも、世界の買収ファンドの多くはPBRに目をつけています。
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