マツダ「SKYACTIV」の次の技術は何が凄いか コーナリングをより安全に速くする新技術

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そんな絶好調のマツダに対して、ひとつだけ案じていたことがある。今現在、クルマが売れているのは喜ばしいことだが、次の世代につながる一手が見えてこなかったのだ。スカイアクティブの後を継ぐようなインパクトのあるセリングポイントがなかなか見えてこなかったからだ。歯に衣着せぬ言い方をすれば、ここ最近は前田育男氏率いるデザイン陣営にスポットがあたることが増えていて、次世代を担う技術の声がほとんど聞こえてこなかったのだ。

ところが、突然、なにやら「将来技術の中で、コアになる技術を紹介する」というので、指定されたテストコースに駆けつけた。その名も、「Gベクタリングコントロール」なる技術だという。Gとは、重力加速度のこと…と言われてもピンとこないだろう。簡単に言えば、クルマでカーブを曲がるとき、乗っている人間も曲がる力を感じる、あの力のことだ。曲がるときに感じる力をベクトル(力の方向性)として考えて、コントロール(制御)するとでも言いたげだ。

いやあ、難しい言葉が出てきたものだ。これは誰かに解説してもらわねばなるまい。開発を担当した梅津氏のプレゼンテーションをうかがった。マツダにおいて、ダイナミクスとは「統一感」であり、カーブを曲がるときに感じる力(G)とハンドルやアクセルを人間が操作することに対してクルマの動きが滑らかに応答すること、と定義づけている。その結果、マツダが提唱する「人馬一体」=人間とクルマが一体となって感じる状態になるというわけだ。

「G」を滑らかにつなげる

そのためには、件の「G」を滑らかにつなげてあげることで、スムーズで快適でなめらかな運動になるという。そのために開発された技術がた「Gベクタリングコントロール」であり、マツダいわく「エンジンでシャシー性能を向上させる」という。

画像を拡大
この概念は今までになかったものだ

従来、エンジンとシャシーは別々に制御していたが、Gベクタリングコントロールでは、エンジンとステアリングを連携して、4輪のタイヤに適正に荷重をかけられるようにし、横と前後のGが滑らかにつながるように統合的にコントロールするという。しかも、ブレーキではなく、エンジンからのトルクの増減でボディの安定性をコントロールするという。

と、ここまで聞いでも、ハッキリ言って、よくわからない。恥ずかしながら、工学修士を修めた筆者も、一回聞いただけではイマイチ効果のほどが想像できなかった。これまでの自動車業界のシャシー制御において、初めて聞く概念だからだ。

とにもかくにも、クルマに乗せてもらおうと、テストコースに繰り出した。まずはノーマルの状態でスカイアクティブGを積んだ「アクセラ」に乗って、未舗装の道を30km/hで試走する。まあ、普通の「アクセラ」だ。ホイールベースが2700mmと長めで、路面の荒れもしっかりいなすフラットな乗り味。ステアリングフィールも近年のマツダらしく、インフォメーショが豊かで、切った分だけしっかりと曲がる印象だ。

次ページところが、実際は全然違った!
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事