コールド・ストーン、コンビニアイス参戦の訳 歌うアイス屋が「銀だこ」傘下で進める大転換

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ホットランドは、国内で606店を展開するが、そのうちたこ焼きが448店と7割超を占める(2015年12月末時点)。第2のブランドである、たいやき事業「銀のあん」は60店に過ぎず、しかもたこ焼きに比べれば、冬に売り上げが伸びるものの、夏は閑散期という季節性が弱点となっていた。

そこで目をつけたのが、たい焼きとは逆に、夏場に強いアイスクリームだ。両者を一体運営すれば、売り上げの平準化が図れるだけでなく、夏場に余りがちな従業員をアイスに投入することで、人員も平準化できる。

ただ、問題もあった。コールド・ストーンは店内で原乳からアイスを仕込んでいる。そのため、約700万円の製造設備を購入する必要がある。拡大路線を進めるには設備投資が重すぎた。

店内仕込みから工場での量産に転換

2014年に「銀だこ」を運営するホットランドがコールド・ストーンを買収。同社の佐瀬守男社長の狙いはたい焼き事業の補完にあった(撮影:尾形文繁)

佐瀬社長が選んだのは、店内生産から工場での集中生産という手だった。買収の翌2015年にたい焼きのあんを製造する桐生工場(群馬県桐生市)に約2億円をかけてアイス製造ラインを新設。1年かけて生産体制を整え、フル稼働なら日産2~3万本製造できる体制を作り上げた。

2015年夏に投入したのが、冒頭の「コールドストーン アイスキャンディ」だ。百貨店やショッピングモールなどでワゴンによる出張販売を行った。この年には映画館や日帰り銭湯などの娯楽施設も加えた約40カ所で販売、アイスキャンディだけで3億円以上の売り上げをたたき出した。

次に手掛けたのが、コンビニへの参入だ。2015年12月からはセブン-イレブンに専用アイスクリームバーの販売を開始。出張販売用のアイスキャンディとは異なり、「チーズケーキ ファンタジー」など従来のコールド・ストーンで扱ってきた売れ筋アイスクリームを棒状にしたアイスバーのコンビニ仕様を投入した。

一般社団法人日本アイスクリーム協会によると、国内のアイスクリーム類及び氷菓販売の市場規模は4369億円。10年前の2005年度と比べると2割伸びている。この市場規模の拡大はコンビニなど小売りの好調によるところが大きい。コールド・ストーンが得意としてきた外食市場は厳しい環境にある。

最大手のB-R サーティワン アイスクリームは、1191店(2015年12月末時点)を展開するが、前2015年12月期は夏場の天候不順や原料価格の高騰により、上場以来初の営業赤字0.25億円に転落している。

外食から小売りに完全に転換したのがハーゲンダッツだ。1984年に東京・青山に1号店を開設し、ピーク時には95店を抱えていたが2013年に最後の店舗を閉鎖した。現在は、コンビニやスーパーでの販売を主力としており、売上高は481億円に達している。

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