液晶パネルメーカーが左右する旭硝子の業績 底入れは本物か

拡大
縮小

 では、来13年12月期は、この調子で四半期ごとに電子ガラス事業の営業利益が増加を続けるだろうか。全社営業利益の8割以上を稼ぐ収益柱の事業だけに、その振れ幅は気になるところだ。旭硝子は、13年2月上旬に今期業績と来期業績見通しを発表する。梅本常務は「今期の業績は発表している数字におそらくなるだろうが、来期については集計中で何とも言えない」と述べている。

 大型ディスプレイ以外のリスク要因であった欧州の建築や自動車用ガラスは、今期中に生産規模縮小などのリストラを実施した効果で、来13年12月期は前期を上回る営業利益を記録できそうだ。中国との取引悪化の影響は限定的で、「洪水後の復興需要があるタイやインドネシアが中国の影響を十分にカバーしてくれる」(梅本常務)としている。

 東洋経済は上振れを予想するが、この増益幅がさらに上振れするか、下振れするかのカギは、大型ディスプレイを生産するアジアのパネルメーカーが13年の需要をどう読んで発注を増やすのか、ふたたび生産調整で減らすのかに左右される。年末のクリスマス商戦の売れ行きがどう転ぶかが最初の関門。よって、旭硝子が業績を発表する来年2月まで見通しづらいというのが実際のところだ。

 

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
パチンコ業界で「キャッシュレス」進まぬ複雑背景
パチンコ業界で「キャッシュレス」進まぬ複雑背景
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
半導体需給に変調の兆し、歴史的な逼迫は終焉?
半導体需給に変調の兆し、歴史的な逼迫は終焉?
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT