北海道の冬の電力需給「綱渡り」は本当か 泊原発停止の影響は

拡大
縮小

7月時点の想定では、来年2月の需要が579万キロワットであるのに対し、供給力は580万キロワットで、予備率は0.2%だった。しかしその後、小型ディーゼル発電機の約80台の追加や、自家発電からの電力購入の増加、火力発電設備の増出力運転によって上積みを行って、供給力を高め、予備率を5%以上引き上げた。これにより、「最低限の予備率」とされる3%はクリアした。

予備率引き上げ可能なら冬の需給逼迫は緩和

ただ、電力業界では通常望ましい供給予備率は7~8%とされ、北海道電力でも「8~10%を安定供給の目安としている」(会社側)という。北海道電力の場合、ピーク需要日の予備率は11年度が9.3%、10年度が16.4%だった。

そうであるならば、現状の5.8%という予備率はさらなる引き上げが望ましいレベルである。引き上げが実現できれば、今冬の需給逼迫はかなり緩和でき、不測のリスクを回避できるはずだ。

今冬、特に来年2月のピークに向け、供給力をどこまで引き上げることが可能なのか。会社側に質問すると、「今のところ最低の3%はクリアしているため、さらなる上積みは考えていない」という。引き上げに限界があるか、との問いには、「限界があるとも言えない」という微妙な言い回し。「予備率5.8%」を引き上げることは可能かもしれないが、今のところこの数字を前提に対応を考えるという立場のようだ。

次ページ7%以上の節電要請
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT