第二山手線開業の余波 最後の地下鉄「副都心線」で新宿は巨大化、池袋は縮小危機

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縮小

開発案件乏しい池袋 渋谷は計画目白押し

その反面、懸念されるのは、池袋駅周辺のビジネスが縮小してしまう可能性だ。東武は池袋に百貨店など数多くの商業施設を抱えており、ここで沿線住民の消費が落ち込んではたまらない。通勤路線の東上線に特急を走らせるのは、池袋の空洞化対策の一つでもあるのだ。

豊島区によると、「池袋駅周辺では西口駅前広場地区を2~3年後には再開発したいが、まだ具体的なプランがあるわけではない」。目玉のない池袋は商業地として地盤沈下の危機に直面しそうだ。それに対し、さらに巨大化しそうなのが新宿。新宿三丁目駅への接続で伊勢丹などでの買い物が便利になる。

渋谷は東急の乗り入れが遅れるが、同グループを中心に街の大改造を行っている。使い勝手が悪く、老朽化も進んでいた渋谷駅は、東横線の地下化に伴って、宇宙船をイメージした近未来施設へ大工事中だ。東口の東急文化会館跡地は、国内最大級のミュージカル劇場などを備えた複合施設へ生まれ変わる。「つくばエクスプレスの開業で秋葉原が再生した。渋谷も副都心線の開業後、同じように変わる可能性がある」(高田氏)という。

副都心線では雑司が谷、西早稲田、北参道など新たに誕生する駅もある。「こうした新駅の周辺は、広尾や神楽坂のような個性的な街になる可能性がある」(博報堂生活総合研究所・筧裕介氏)という。

東京・山の手の地域にありながら、地下鉄路線が1本しか走らないような街は、公共施設も商業施設も地元住民に目を向けざるをえない。地元住民といっても、そこは山の手の人たち。レベルも平均では集客できない。その集積が個性的な街を形成していくのだという。

巨大化、活性化しそうな新宿、渋谷、商業地内格差に直面する公算の大きい池袋、そして第二の広尾の誕生。9キロメートル弱の最後の地下鉄は、東京の風景を一変させる破壊力を持っているのかもしれない。
(週刊東洋経済編集部)

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