ハンガリーとポーランドでは、欧州に根を下ろしつつある極右の政治的主張が、最も先鋭的な形で表れている。極右政党は、金融危機と難民危機に対し十分な対応をとれないEUが生み出した政治的空白に入り込もうとしている。
この形勢を逆転させることはできるのか──。重要なのは民主主義の敵に対しても、民主的な手段で戦うことだ。つまりハンガリーとポーランドの国民に対し、グローバル化する世界において、偏狭なナショナリズムがいかに的外れであるかを訴えることである。
両国ともEU加盟によって、これまで大きな利益を得てきた。さらなる発展のチャンスを棒に振ってはならない。
両国の国民は基本原則に立ち返れ
1989年、ハンガリーとポーランドの国民は国際的な孤立を拒んだ。鉄のカーテン崩壊を受けて両国は、EU加盟に先立ってNATO(北大西洋条約機構)の確固たる同盟国となった。この両国を抜きに統合欧州は存在しえない。両国の国民は、EUと同様にNATOも、民主主義、個人の自由、法の支配という基本原則の上に成り立ってきたことを、肝に銘じるべきだ。
こうした基本原則を軽視する政府は、NATOの団結と連帯を危険にさらす。米国をはじめとするNATO加盟国は今すぐ主張すべきことを主張し、民主主義のチェック機能を守り通す覚悟を示唆せねばならない。
この6月にはポーランドのワルシャワでNATOの首脳会議が開催される。ポーランド政府が法の支配や尊重すべき国際組織の意見も無視し、憲法の危機を放置したままで、この首脳会議を主催するなど論外である。
ハンガリーとポーランドの国民は、ロシアのプーチン大統領がEUとNATOを分断・弱体化させようと攻勢に出ていることを忘れてはならない。欧州がロシアの攻撃に果敢に立ち向かうためには、ポーランドとハンガリーがEUとNATOの基本的価値観と原則を堅持することが極めて重要なのだ。
政権は成立と退場を繰り返し、政治家もまた登場しては去っていく。しかし民主的な制度は、政治の影響を超越したものであるべきだ。ハンガリーもポーランドの現在の指導者たちは国益を守っていると主張している。しかし、米国、NATO、他のEU諸国から白眼視されることが実のところ、自国の利益になるのだろうか。
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