iPhone5に翻弄されるドコモの巻き返しは
国内携帯電話業界で不動の1位に君臨するNTTドコモが、米アップルの人気スマートフォン「iPhone」(アイフォーン)シリーズに翻弄されている。
ドコモは10月26日、2013年3月期の営業利益が8200億円(前期比6.2%減)になる見通しだと発表した。従来は9000億円と増益を予想していたが800億円の下方修正になるとともに、7年ぶりの営業減益となる。
下方修正に至ったのは、ドコモを追いかけるKDDI(au)、ソフトバンクへの対抗策として販売促進費用を大幅に積み増すためだ。背景にあるのが、9月に発売となった「iPhone5」の快進撃である。
ドコモは現在、全体の契約数は純増を維持しているものの、番号持ち運び制度(MNP=モバイルナンバーポータビリティ)による、KDDIやソフトバンクへの顧客流出が深刻化している。圧倒的な人気を誇る「iPhone」シリーズを取り扱うauとソフトバンクに対し、取り扱いのないドコモから顧客が逃げる構図である。昨年に発売された「iPhone4S」でもその傾向があったが、特に「iPhone5」が発売された9月は10万人近い契約流出となったうえ、10月も同様の傾向が続いているもようだ。
ドコモの下方修正は、これに対抗してスマホの拡販を進めるために800億円以上の費用を競合対策として積み増すのが要因だ。26日の会見で加藤薫社長は「具体的な施策は言えない」としたが、業界が盛り上がりをみせるボーナス商戦に向け、大幅な値下げや乗り換えキャンペーンなどを打ち出す可能性もありそうだ。