「VR(仮想現実)バブル」は、いつはじけるのか

普及を阻むいくつかの障害

フェイスブックに関しては、エージェンシーに積極的に売り込んで360度動画やVRコンテンツを増やしているわけではないが、オキュラスとエージェンシーの間の話し合いを絶やさずにいると、あるエージェンシーの幹部は語る。

「バブルが将来はじけないという確信はないが、誰もが人々に関心を抱かせようと本当に努力をしている。クライアントは関心を抱いているが、過度に入れ込む前に、ヘッドセットの所有者が十分にいることを知りたいと思うだろう」と、ケプケ氏。

消費者が関心を寄せる兆しはあるが、保証はない

多くの者は、360度動画(PCやモバイル機器で視聴したりやりとりしたりできる2D動画)がVRへの入り口になるかもしれないと確信している。

1年以上前に開設されたYouTubeの360度動画チャンネルは、登録者が98万人を超えている。YouTubeは、このチャンネルの総ビュー数を明らかにしていないが、週間ビュー数が70万回に達するBBCニュースの「ラージハドロンコライダーに踏み入れてみた(原題:Step Inside the Large Hadron Collider)」や、月間ビュー数が200万回近い米航空宇宙局(NASA)の「ナミブ砂丘の火星探査車キュリオシティ(原題:Curiosity Mars Rover at Namib Dune)」など、非常にパフォーマンスの良い動画もある。パリ同時多発テロを追悼する意味で制作されたこの動画など、CNNのいくつかの360度動画は、Facebookでのビュー数が100万回を上回っている。

ニューヨーク・タイムズのVRアプリは、ダウンロード数が50万件を超え、ビュー数が150万回を上回っている。公開して以来、総ビュー数の75%が「カードボード」モードだった、と同社は述べている。

CNN VR担当エグゼクティブ・プロデューサーのジェイソン・ファーカス氏は、次のように述べている。「携帯電話は、VRにとって重要な配信プラットフォームになりつつある。『オキュラスリフト』と『HTC Vive』は、まったく異なる質の高いプラットフォームだ。消費者がこういったハードウェアを受け入れるまでにどれくらい時間が掛かるのかわからない――おそらく、決して受け入れないだろう」。

サムスンの「Gear VR」は、「カードボード」のようなローエンド端末と、将来登場するハイエンドのヘッドセットの中間に位置し、消費者がもっと高品質なVRコンテンツにアップグレードする際に中心的な役割を果たす可能性がある。フェイスブックによると、2015年11月の発売以来、「Gear VR」で100万時間分を超える動画が視聴されたという。2015年秋の民主党大統領候補者討論会の模様を流したCNNのライブストリーミングは、「Gear VR」の初期のベータ版ユーザーが視聴でき、100カ国以上で視聴された、と同社は述べている。

ニューヨーク・タイムズの共同編集者であるサム・ドルニック氏は、「フェイスブックは20億ドル(約2180億円)を投資し、グーグルは大々的に参入している。さらに、アップルのVRに関する動きについても、いろいろな噂が流れている。これらの企業はいずれも賢明で、メディアが向かう方向を形作る力があるのだ。こうした状況を目のあたりにして、無視することはできない」と語っている。

つまり、パブリッシャーと広告主は、より多くのVRコンテンツを世に送り出し続け、テック企業はそうしたコンテンツを配信するためのプラットフォームや機器をさらに提供するということだ。開発すれば求める相手が現れるという考えに、誰もがとらわれている。

Sahil Patel(原文 / 訳:ガリレオ)

DIGIDAYの関連記事
「VRマーケティング」に本気を見せはじめたFacebook:誰がその覇権を握るのか?
ゲータレード、世界初の「VRマーケティング」を実施。MLBのスター選手になろう
日本IBM流「わかっている」オタクマーケティングの作り方:競争率500倍となった話題のイベント
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ブックス・レビュー
  • 就職四季報プラスワン
  • 映画界のキーパーソンに直撃
  • 競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
大手から専業まで大混戦<br>中古マンション販売の隘路

新築価格が高止まりし、参入業者が急増する中古マンションの「買い取り再販」。デベロッパー自ら物件を取得し、リノベーションを施して販売する手法だ。価格上昇や売れ残り増加など懸念材料も出現、手放しでは喜べない活況の裏側を描く。