――東日本大震災が2011年3月に起き、2011年5月に中部電力は当時の菅直人首相の要請を受け入れる形で浜岡原発の稼働を停止しました。その際、住民や株主などさまざまなステークホルダーの利益に配慮したうえで判断したといいます。
今回、株主の利益に照らすと二つの考え方があるだろう。
一つは事故が起きた時の影響の大きさを考えて止めるという考え方だ。東京電力・福島第一原発事故をきっかけに東電が事実上経営破綻して国有化されたように、原発事故による被害は計り知れない。
もう一つは運転を一時的に停止した場合にどれだけの損失を被るかということだ。期間にもよるが、許容範囲ではないか。少なくとも電力不足に陥ることはないだろう。万一を考えて止めておくという判断は九電の社会的評価の向上にもつながると思う。
避難シミュレーションは机上の空論
――広瀬さんが代表取締役を務める「安全・安心研究センター」は、川内原発の再稼働を前にした2014年11月21日から12月14日に、原発が立地する薩摩川内市およびいちき串木野市など原発から30キロ圏内の5市町村で暮らす360人を対象にアンケート調査を実施しました(アンケート調査結果は岩波書店『科学15年3月号』に掲載)。それによれば、「おそらく安全に避難できない」と「安全に避難できない」を合わせた住民が、薩摩川内市で69.5%、それ以外の30キロ圏で61.7%にのぼっています。「安全に避難できる」と「おそらく安全に避難できる」の合計はそれぞれ30.0%、38.4%にとどまりました。
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