今回も国が計画を認定し、予算採択をするというプロセスですから、予算獲得を目指す地方自治体からすれば、国側が推進する政策の傾向をくみ取り、「予算がつきやすそうな分野」の事業を提案するのは合理的な行動でもあります。しかし、これでは全国各地で似たような事業が展開され、共倒れになってきた過去とあまり変わりません。
「因果関係が見えない」数字が成果目標に
地方創生政策では、成果目標が求められています。今回の交付金リストにおいても、注目事業については成果目標まで一覧になっています。
たとえば、10都道府県市町村が合同で提案して採択された「忍者のマーケティング・セールス推進事業」には、1.25億円の予算がつけられています。そして、成果の欄をみていくと、各都道府県の県内宿泊者数やら観光入込客数の目標となっています。
これには、2つの問題があります。
1つは、この事業を推進するのに使われるのは税金、おカネにもかかわらず、成果はおカネではなく人数などをターゲットにしている点です。本来予算を投じるのですから、観光業が経済的にどれだけプラスになるのか、税収がどれだけ上がるのか、を目指さないといけません。その際には、重要なのは観光客数ではなく、観光客数×1人あたり観光消費額です。何万人来ても消費してくれなければ、地域としては儲からず、投じた税金も回収できません。
もう1つは、直接的な影響を図れない数値を業績評価目標にしていることです。別に観光客数なんて数字は、忍者マーケティングをやってもやらなくても増加するかもしれませんし、減少するかもしれません。どれだけこの事業で成果を生み出したか、そもそも測れない数字を目標に設定しています。
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