相場は相変わらず複雑だが面白くなってきた PER15倍台にあったカベはいったいどこへ
ただ、この3兆円のうち実際の解約はどれだけあったのだろう。前年後半大量解約があり、年が変わったのでさらに解約が来たのか。産油国の国家予算の補填に使われると言われているが、年度赤字額がわからない年初からどれだけ解約注文が来るのだろう。
「解約に備えて」投資顧問会社が事前にポジション調整をしたとは考えられないだろうか。そして今、原油価格が40ドル台に戻って、年前半のオイルマネーの解約はほとんどなくなったと言われている。ファンド筋は「売り過ぎた」感に陥っていると考えても不思議ではない。輪をかけるようにECBの超緩和策は続き、景気経済の停滞の中でもこの緩和資金は、主要国のPERを押し上げている。すでにアメリカは20倍近くにあり、欧州も16倍前後で、日経平均の予想PER15.99倍にそれほどの割高感はない。
政策は大きな期待であり大きなリスク
投資家は、デフレ脱却に汲々としている日本に見いだせない成長ストーリーを、中小型株に見出そうとしている。個人投資家だけでなく、外国人投資家や国内機関投資家までもが、新興市場株を買い始めた。指数のチャートを見ると、怖くて買えない高値に見えるが、資金の流れは変わったばかりだ。主力株の水準訂正があろうとなかろうと、中小型個別株物色の流れはまだまだこれからに見える。
さあいよいよ今週は、26~27日にFOMC(米連邦市場公開委員会)、27~28日に日銀政策決定会合がある。先週末には一部の報道として、日銀が金融機関への貸出しにもマイナス金利適用を検討しているとして、銀行株が買われ、日経平均も高値引けとなった。
記事を執筆した記者が業界では有名な日銀ウォッチャーであることから、ヘッジファンドやHFT(超高速取引)の短期資金が動いたようだが、ETF大量増額買い入れ予測も出ており、28日の結果発表まで荒い動きが続きそうだ。今回の日銀の金融政策や、今後の政府の景気政策を市場は期待しているが、中途半端な結果で市場が失望する事も考えられる。政策は、大きな期待であると同時に、最も大きなリスクでもある。
25日の日本電産、26日の信越化学など、全体相場に影響を与える企業決算もある。引き続き、為替、原油、企業業績の三要素に政策期待が加わった複雑な相場は続くが、多くの投資家の買いコストである1万7300円どころを抜けて来た。窮地に陥ったカラ売り筋はどう出るのか。一気の踏み上げがあるのか。相場は面白くなって来た。日経平均予想レンジは1万7200円―1万8000円。
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