Jフロントはパルコとのシナジー追求とスーパーのピーコックの建て直しを推進
直近の話題では、10月5日に大丸・東京店の増床部分が完全オープンした。売場面積は従来の1.4倍の4.6万平方メートル。奥田務会長は「百貨店らしい売場になった」と話す。すでに8月22日の地下食品フロアを皮切りに五月雨式に部分開業し、セレクトショップや東急ハンズもすでに開業している。既存部分も含め9月の月商が33%増となったほか、完全オープン後、連日10万人超が来客するなど盛況が続いている。
一方、上期に4億円の営業損失となったピーコックストアについては、抜本的な経営改革で建て直しを図る考えだ。奥田会長は「百貨店が順調な中で、深刻に受け止めている。これまであまりにも百貨店中心にモノを考え、継子扱いしてきた面があった」と反省する姿勢を隠さない。
苦戦の理由は価格志向の強まりへの対応の遅れと競争の激化だ。同社は関東、関西、中部地区を中心に店舗を展開するが、都心部や阪神間などは順調ながら、郊外や地方の店舗が競合、価格志向の影響を強く受けているという。
今後は店舗特性を見ながら店舗単位で品揃えや価格構成を考えていく方針。現状でも価格競争に真正面から取り組む必要性のある店舗が数店あり、そうした店舗は価格対応力を強化した業態の「ピーマート」への切り替えを進めている。「ピーマート」は、中部地区の食品スーパー、バロー<9956>から、PB商品を上期80アイテム導入し、下期にはこれを250アイテムに増やす予定で、店舗特性を見ながら入れていく。また、青果と総菜の強化に加え、3月に導入した新情報システムを定着させ、品揃えの是正や品切れ、ロスの排除、オペレーションの効率化を図る。さらに設備老朽化への改装や店舗のS&Bも抜本的に進める考えで「(食品スーパーは)業界の中で一番厳しい。腰を入れて、思い切って全般的な経営改革に取り組んでいく」という。