韓国総選挙、与党の「衝撃的惨敗」が映すもの 従来の各政党の支持基盤が崩壊した

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一方、最大野党の共に民主党は、首都圏で想定外の圧勝を果たした。さらに当初目標議席である107議席を大きく上回る議席を獲得、国会の慣例上、国会議長を輩出できる第1党となった。

第3政党「国民の党」が善戦

「共に民主党」から脱党したメンバーで創党した国民の党の安哲秀代表。韓国南西部・全羅道で圧倒的勝利を得て、国会のキャスティングボードを握ることに

共に民主党から離脱した国民の党は、韓国南西部・全羅(チョルラ)道で圧勝、党のカラーである「緑風」を巻き起こした。院内交渉団体を構成できる議席数をはるかに上回る38議席を得た。政党得票率でも、共に民主党を抑え2位を記録する波乱を起こした。

一時、提出された法案を単独で迅速に処理できるように、現行の「国会先進化法」(現行の国会法)を無力化できる180議席を目標としていたセヌリ党は、過半数確保はおろか、「最悪のシナリオ」としていた145議席も届かなかった。

さらに、第1党の座を共に民主党に明け渡し、国会の主導権を喪失。経済活性化や労働改革関連法案など、今後の朴槿恵政権の国政運営にも相当な支障となることは避けられなくなった。そのため、セヌリ党を脱党した5人の当選者のうち2人以上の復党を果たさないと、第1党の地位を守れない。セヌリ党内では、脱党者の復帰を認めないとする朴槿恵大統領に近い派閥の主張とどう折り合いを付けるかに関心が集まっている。

また、公認候補の選定において派閥争いで大きな混乱を生じさせたセヌリ党が惨敗したことで、金武星(キム・ムソン)代表をはじめ指導部の責任も強く問われることになるだろう。

共に民主党の場合、首都圏での圧勝を土台に独自の改憲阻止ライン(100議席)はもちろん、当初目標としていた102~107議席を大きく上回る議席を獲得したことで、金鍾仁(キム・ジョンイン)体制が成功したとの高評価を得た。特に、難攻不落とされていた慶尚道で9議席を得て、またソウル南部・江南地区でも善戦するなど支持基盤を大幅に拡大した。

ただ、全羅道で国民の党に惨敗し、比例代表での得票率でも同党に追い抜かれたことで、野党としての力学的関係が不利に働く可能性もある。

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