九州「ハンズマン」の店作りが超型破りな理由 22万点の商品を「一目瞭然」に陳列する極意

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市販されていないものはメーカーに頼んで作ってもらうことも

22万アイテムもあると「店内のどこに何があるかわからない」という不満につながる可能性がある。売る側は客を店舗内に長くとどまらせようとするが、欲しい商品を早く見つけて早く帰りたいお客様もいる。

そんなお客様のため、店舗デザインは「お客様が店内に入った瞬間、いかにすべての商品を見せてあげられるか」を大事にした。1階と2階を吹き抜けにし、どの陳列棚も一目で見渡せるようにする。棚ごとに何の商品が並んでいるかすぐにわかるようなディスプレー板を置く。これらは大薗社長のアイデアだ。

だから、店舗を設計するときは、まず什器の高さを決め、レイアウトし、柱の位置を決める。そして最後に建物の大きさを決定するのだ。建物に合わせて商品をそろえるのではなく、理想の売り場を決めてから建物の面積が決まる。逆転の発想がハンズマンならではの売り場につながっているのだ。

人事評価項目は250~300個!

1年以上売れない商品も多数

なかには1年以上売れない商品もある。それは「ワクワクする商品」だ。「何これ!」「こんな大きな噴水も売っているんだ!」とお客様同士で会話が生まれればうれしいと大薗社長は言う。

ものを買うだけならネットでもできるが、空間があれば五感に訴え、買い物の時間を楽しんでもらうことができる。「何も買わなくても喜んでもらえればいいし、用事のついでに買い物をしてもらえれば十分なんです」。

九州一円に11店舗を展開し、20期連続増収しているハンズマンだが、好業績を支えているのは既存店舗の売り上げの伸びだ。つまりリピーターが増えているのである。その理由として、顧客の要望にスタッフが向き合い、メーカーと協力して商品を仕入れ、工夫を凝らして陳列する「ハンズマン流」が挙げられるが、それだけではない。

スタッフ一人一人が「お客様のための行動」ができたかを振り返り、改善している点も理由の一つだ。ハンズマンの給与は行動評価制で「お客様のための行動」が反映される。評価項目は、リーダーシップや陳列、入荷、身支度、あいさつなど250~300個にわたり、できたかどうかを二択でチェックすることで、自分に足りない行動が一目でわかる。徹底的に顧客視点に立つことが「ハンズマンに行けば楽しい、面白い」という価値を生んだのだ。

本部には、全国から定期的に「早く私の地元にもオープンしてほしい」というメールが届く。「その希望にはできるだけ応えたい」と大薗社長。これからは「自分の街にハンズマンをつくろう」を合言葉に、新たな事業展開を見据えている。

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