韓国で感じた日本と韓国の違い 共通して食洗機普及率が低い両国だが…

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韓国の国内では米韓のFTA(KORUS)についてさまざまな議論がある。ただ、私が会った与野党双方の大物政治家たちは、貿易と外国からの直接投資を増やすことは韓国の経済成長に不可欠だ、と言い切っていた。野党が利益団体の不平不満を利用して支持を集めようとしているが、その力は日本のTPP(環太平洋経済連携協定)論争における政治的影響力とは比較にならないほど小さい。

ワンジュの農村地域を訪れた際に、韓国がKORUSを締結できた背景がよく理解できた。日本では、政治家が農村票を掘り起こそうとして、農地を小規模かつ非効率なままに放置しようとし、補助金がこれを後押ししている。これとは対照的に、ワンジュでは、たとえ農業人口が減少したとしても農業の効率化を図ろうと取り組んでいる。

ある地方の幹部は、その地域では今後20年間に、現在400ある農村のうち100の村を残そうとしていると語った。私たちは約70頭の牛を飼う牧場を見学した。少し前までは多くの農家が飼う乳牛の数は2~3頭にすぎなかったが、政府が補助金を出して、農家の規模拡大を支援した。政府は農業の効率化を支援し、その見返りに農産物の輸入が自由化されたのだ。

旅行中でもう一つ印象深かったのは、韓国の人々が北朝鮮の脅威をまったく感じていないように見えたことだ。

北朝鮮は、ミサイルの一撃だけで、韓国の化学工場の大部分を破壊し、有毒ガスを人口過密地域にまき散らすことができるはずだ。もし韓国が北朝鮮の奇襲攻撃をひどく恐れているのなら、コンビナートを各地に分散させることもできるだろう。

つまり、今の状況を慶熙大学の学生たちの言葉を借りて言うと、「北朝鮮は、韓国の哨戒艦を沈没させたように、今後も挑発を繰り返すだろう。しかし北朝鮮には、韓国に総攻撃をかけることは自殺行為だという認識がある」ということだ。

Richard Katz
The Oriental Economist Report 編集長。ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズ等にも寄稿する知日派ジャーナリスト。経済学修士(ニューヨーク大学)。当コラムへのご意見は英語でrbkatz@orientaleconomist.comまで。

(週刊東洋経済2012年9月29日特大号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

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