揺れるセブン、新経営体制の方向が見えず 今後の経営に波乱を予想する声も
[東京 8日 ロイター] - 企業統治の模範例か、お家騒動悪化の予兆か──。「カリスマ経営者」だったセブン&アイ・ホールディングス <3382.T>の鈴木敏文会長兼CEO(最高経営責任者)が7日発表した突然の退任で、同社の先行きに不安が広がっている。
同会長の人事提案を否決した取締役の採決には、企業ガバナンスが機能したとの評価も聞かれる。同時に、「長老支配」を引きずる同社の古い体質も浮き彫りになり、今後の経営立て直しを遅らせるとの懸念もでている。
鈴木会長の退任表明から一夜明けた8日、セブンの株価は前日比で上昇して終わったが、強力な後継者候補を欠く同社の経営展開に波乱を予想する声は少なくない。
ガバナンス面からは一定の評価
日本の小売業を大きく変えたコンビニエンスストアの台頭。業界をけん引してきたセブンイレブン・ジャパンの成長の歴史をひも解くと、現在83歳の鈴木会長の先見性を示す逸話がいくつもある。
今では主力商品となっているおにぎりや弁当を店で販売するという決断は有名な話。最近では「もっと美味しい食パンを作ろう」という会長の一声で開発した「金の食パン」が大ヒット商品となったことも広く知られている。
しかし、成長を謳歌してきたセブンイレブンで、今年3月末から井阪隆一社長の交代をめぐる混乱が続いた。
これまでなら鈴木会長の「鶴の一声」で決まるはずの人事だが、人事案を検討した指名委員会での社外取締役の反対、取締役会では社内取締役からの反対票も出て、鈴木会長は自ら主導した案を実現できなかった。
野村証券シニアストラテジストの西山賢吾氏は「日本のガバナンスが良い方向に変わってきた。上場企業と非上場とは決定的に違う」と述べ、上場企業ならば当然起こりうることとの見方を示す。