モバイル通信サービスに参入、楽天が狙う”対キンドル”
楽天は9月19日、イー・アクセスとの提携により、ノートパソコンをはじめとするモバイル機器を、どこでもインターネットに接続できるようにするモバイルデータ通信サービスに参入すると発表した。本日から楽天サイト上で申込みを受け付け、10月1日に提供を開始する。
サービス名は「楽天スーパーWiFi」。イー・アクセスのモバイルデータ通信サービスを楽天ブランドで展開する。通信機となるWiFiルーターは実質0円。高速通信規格LTEが月額3880円と格安で使用できるうえ、加入時には楽天の電子書籍リーダー「コボ タッチ」、または「楽天スーパーポイント」が5000ポイントが特典としてついてくる。また、サービス提供契約中の2年間は同サービスのルーターを介さなくても、「楽天市場」で買い物すると通常の3倍のポイントが付与されるなど、いたれりつくせりだ。
新事業開始に合わせて、楽天とイー・アクセスは新会社「楽天イー・モバイル」を設立。出資総額は5億円で、楽天が51%、イー・アクセスが49%を出資する。社長は楽天の中島謙一郎常務執行役員が就任する。
通信サービスへの参入を「楽天会員からのニーズが高く、会員基盤をいかせるビジネス」と楽天の三木谷浩史社長は説明する。一方で、コボ タッチが無料でついてくることからも分かるように、楽天の狙いは電子書籍事業の補完にもある。
楽天は7月、電子書籍事業を国内で開始。しかし開始当初からシステムトラブルが発生。コンテンツ数が約2万点と目標に1万点も届かないなどお粗末なスタートとなった。
こうした出足について「米アマゾンの電子書籍『キンドル』よりも早くサービスを開始しようと急いだからだろう」と業界関係者はささやく。アマゾンは年内、早ければ9月末にもキンドルを国内に投入し、新刊などコンテンツ数を幅広くそろえて電子書籍サービスを開始すると見込みだ。