銀行株の上昇と「海外投資家の買い」が必要だ 相場が再浮上するための「最低条件」といえる

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財政政策や追加緩和期待が心理的な下支え要因となるでしょうけど、企業業績の利益下ブレ懸念がある程度消えないことには、海外投資家のスタンスは簡単には変わらない。彼らは国内企業が業績悪化によって、株主還元策を緩めないかを心配しているからです。

海外投資家は3月4週まで日本株の現物株だけだと、12週連続して売り越しを続けています。しかし、現物株に先物を合算したベースでみると、3月4週は12週ぶりに買い越しに転じました。今や現物市場よりも先物市場の方が売買高は多い時代ですから、先物を合わせてみるほうが実態に即しているといえます。直近3年間では4月1週に買い越し額が膨らむ傾向があることから、今年も年度替わりのフシ目で投資スタンスに変化がみられるかが、需給面での短期的な注目点となります。

目先の下値フシは1万5400円どころ

話を変えて、東証33業種分類の昨年末からのパフォーマンスをみると、最も下落率が大きいのは銀行セクターです。日銀によるマイナス金利導入によって、利ザヤの悪化や運用収益の低下などによる先行きの収益動向への懸念が根強い。4月の日銀金融政策決定会合でも追加緩和を予想する向きがあり、マイナス金利幅拡大などでさらに追い打ちをかける警戒感が株価の反発力を鈍くする要因となっています。

個人的に追加緩和はETF(上場投資信託)の買い付け枠を今から倍増するぐらいのサプライズが必要だと思いますが、いずれにしても、マイナス金利政策の打ち止め感、あるいはそれ以外の緩和策が出てくるまでは、日銀に対する市場の信頼を取り戻すには時間を要するでしょう。銀行株の上昇と海外投資家の買いが相場全体の再浮上のためには最低条件であることは確かです。

NPO法人の日本テクニカルアナリスト協会が、基礎編に続く「初級編①」を発刊。無料で配布しています。

最後に、日経平均の目先の下値のフシとして1万5400円どころがあるとみています。1月21日安値1万6017円から2月1日高値1万7905円までの上昇幅1888円を、3月14日高値1万7291円からの下落幅とみた計算方法で出た水準です。1万5400円どころ、あるいはそこに近い水準までの調整で収まれば、下値固め(二番底)の範疇。ただ、2月12日安値1万4865円を下回るとそうではなく、底割れから下値模索につながる展開が想定されます。

投資スタンスはより確実性を重視し、3月14日高値1万7291円を上抜く買いサインを確認するまで静観する方がよいかもしれません。米国市場が本当に高値更新していくのであれば、買いサインが出てからでも遅くないでしょう。

なお、このたび私が所属している非営利の団体・日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)では、「テクニカル分析について学びたい」という読者の方々のためにハンドブック(初級編①)を作成しました。前回大好評をいただいた基礎編に続く冊子です。無料で配布しておりますので、興味のある方は、NTAAのHPからぜひお申し込みください。なお、基礎編とあわせて2冊申し込むことも可能です。

東野 幸利 国際テクニカルアナリスト

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ひがしの ゆきとし / Yukitoshi Higashino

DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部長。証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)教育委員、日本テクニカルアナリスト協会理事なども務める。
 

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