園芸・ペット・LED照明 今、復興フロントランナー--大山健太郎 アイリスオーヤマ社長《下》

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アイリスオーヤマの社員は決死の復旧作業を敢行し、ダイシンの泥水をかき出して、生活物資を被災者の手に届けた。河北新報もアイリスオーヤマも、震災直後から被災者に寄り添い、復旧の最前線にいた。

共同代表として大山と一力が一致しているのは、復興方針を真に地元から発信することだ。大山は長期戦を覚悟している。「防潮堤や高盛り土の道路を作るのに3~5年。それから企業誘致です。が、区画整理をしようにも、権利関係がハッキリしない。みんな被災者だから、一人でも反対があれば、進まない」。

それでも前進するしかない。仙台周辺を国際物流拠点として整備すること、国際介護・看護大学など高度施設を誘致し新たな医療産業を興すこと。二人はこれらを核とする「仙台平野モデル」をまとめ上げた。単に提言するだけではなく、率先垂範が企業人・大山の本領である。

今年8月、仙台駅前にオープンしたアイリス青葉ビル。全館LED照明のこのビルに秋口、医療モールを開設する。世界中の患者を仙台に招き入れるメディカルツーリズムにも、大山は意欲を見せている。

「ヘルスケア」は、LEDに代表される「節電」とともに、アイリスオーヤマが掲げる2大テーマだ。

今でも「あきまへん」と関西弁が出てくるが、「気持ちは100%東北人」。企業の明日を追求することがそのまま地域の明日につながる幸せなポジションに、今の大山はいる。マイナスをプラスに変え、ピンチをチャンスに変えてきた大山哲学。東北のピンチをビッグチャンスに変えることができるのか。大山哲学の新たな大舞台である。
=敬称略=

おおやま・けんたろう
最も重要な会議が「新商品開発会議」だ。毎週月曜日、大山が自ら主宰し、毎年1000アイテムの新商品を送り出す。「今、自動車を作れ、と言われてもできない。だけど、いずれ作るかも知れない。われわれが作ることによってお客さんが満足できるなら。やりたいかどうかではなく、主語はお客さん」。

(撮影:今 祥雄 =週刊東洋経済2012年9月15日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

梅沢 正邦 経済ジャーナリスト

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うめざわ まさくに / Masakuni Umezawa

1949年生まれ。1971年東京大学経済学部卒業。東洋経済新報社に入社し、編集局記者として流通業、プラント・造船・航空機、通信・エレクトロニクス、商社などを担当。『金融ビジネス』編集長、『週刊東洋経済』副編集長を経て、2001年論説委員長。2009年退社し現在に至る。著書に『カリスマたちは上機嫌――日本を変える13人の起業家』(東洋経済新報社、2001年)、『失敗するから人生だ。』(東洋経済新報社、2013年)。

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