シャープ「存続」の切り札・“世界の亀山”が危ない アイパッドの不手際 大きく尾を引く
結果、シャープが新アイパッド向けのフル操業にかかる前に、アップルは新アイパッドの減産に入った。シャープに加えサムスン向けの発注を停止し、足もとではLGがわずかに生産するのみだ。
新アイパッドの失策でアップルの機嫌を損ねたツケは大きい。当初見込んでいたパソコン「マックプロ」「マックブックエア」向けパネルの受注を、シャープは相次いで逃した。「IGZOの量産遅れをアップルが問題視したためではないか」(関係者)。
小型タブレット新機種「アイパッド ミニ」の受注もしていない。
アップルはアマゾンの電子書籍端末「キンドル」に対抗すべく、「ミニ」の価格をアイパッドの半額以下に引き下げてくるとみられる。パネルの買い取り価格もそれに準ずるため、円高でコスト競争力が弱っている亀山第2が受注するには不利だ。「シャープ側が亀山第2で生産する意味は薄いと判断し、受注を見送った可能性はある」(関係者)。とはいえ、ここ数年アップル製品の大半を受注してきたシャープにとっては不安材料であることは確かだ。
アイフォーン5でも痛恨の出遅れ
一方の亀山第1工場でも、今、別の“危機”が起きている。
アイフォーンの新機種「アイフォーン5」──。シャープはLG、ジャパンディスプレイ(JDI)と並んで、同機種向けの液晶パネルの受注を獲得。亀山第1で7月下旬から生産を開始したが、関係者によれば、競合2社に比べて歩留まりが上がりきっていないというのだ。