ニトリ、前人未踏の「30年連続増益」に挑む 似鳥会長「消費税の再増税は1、2年延びる」

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さらに従来中心だった郊外から都市部に店舗を広げたことで認知度向上や客層が広がったことも大きい。2015年にニトリは東京・銀座の「プランタン銀座」に出店、初めて百貨店内への進出を果たした。同店舗は都内で働く女性を意識したコーディネートを充実させるなど付加価値の高い品ぞろえを中心に据え、好調に推移しているという。

店舗は今後も都市部で増やしていく方針だ。2017年2月期の新規出店も国内外で50店以上と前年度と同じく高水準を維持する。都内では7月に大田大鳥居店(仮称)、12月に環七梅島店(同)と環八用賀店(同)などを予定。新宿や渋谷など駅前立地でも物件を模索しているようだ。

省人化を進めた通販の発送センター

今期末の店舗数は国内外で475店になる見込みで、店舗拡大に合わせて大型物流センターも相次いで増設する。2017年度に神戸物流センターが稼働することを皮切りに、2018年度に幸手と名古屋でも稼働する予定だ。同時に物流効率化も進めており、川崎・東扇島の通販発送センターには自動ロボットシステムを導入して省人化を実現。通路が不要となり収納力や作業効率化が大幅にアップしているという。

今年の消費動向については厳しい認識

飛ぶ鳥を落とす勢いの同社に懸念はないのか。あえて挙げるとすれば、一つは為替変動だ。ニトリは自社で製造を手がけ、その多くを中国やベトナムから日本に輸入している。1円の円安は営業利益を16億円押し下げる。ただ今期は1ドル=108円程度でほぼ予約を完了済みのため、影響は限定的だ。似鳥会長は「年間5円前後の変動なら社内改善で何とか対応できる。私は今後円高に向かうとみている」と話し、為替リスクを払拭してみせた。

もう一つは消費動向だ。似鳥会長は「今期は前期と同等かやや落ちる」と厳しい見方を示したうえで、2017年4月の消費税の再増税については「消費税が上がれば、さらに悪くなる可能性がある。おそらく延期ではないかと思う。1年か2年ぐらい延びるかな。安倍首相から聞いたわけではないよ(笑)」と指摘。似鳥会長と安倍首相は親しい間柄で知られるだけに、あくまでも持論であることを強調してみせた。

2月には社長を白井俊之副社長に譲り、自身は会長兼CEO(最高経営責任者)に就いた。節目の年で30年連続の増収増益を達成できるか、注目されそうだ。
 

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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