デジタルメディアは完全に「呉越同舟」だった GoogleとFacebookへの「対抗戦線」の行方

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ただし、守りの面から見れば、こうした動きの背景には、競争の場が以前と比べてはるかに広がっており、多くのパブリッシャーがより規模の大きな企業に完全に食われてしまうリスクに直面している現実がある。「パブリッシャーはこれまで、お互いを競争相手としてしか見ていなかった。だが今は、はるかに広い範囲に競争相手がいるのだ」とジェントリー氏は語った。

この競争は、広告の売上をめぐる戦いを超えたところにある。大規模なプラットフォームは、数十億人の人々が毎日利用する魅力的な製品を作っているため、巨額の広告予算を引き寄せている。小さな技術部門しかもたない平均的なパブリッシャーにとっては、少なくとも単独では太刀打ちできない新たな領域なのだ。

2012年には、「ニューヨーク・タイムズ」と「ワシントン・ポスト(The Washington Post)」が、ナイト財団(Knight Foundation)およびモジラ(Mozilla)とともに、コメント機能とコミュニティ機能をもつ新しいプラットフォーム「コーラル(Coral)」を開発した。関わったのは12名のチームだったが、そのほとんどが「ニューヨーク・タイムズ」と「ワシントン・ポスト」の開発者、製品マネージャー、デザイナーで、残りはこのプロジェクトのために雇われた契約社員やスタッフだった。

この取り組みの目的は、すぐには明らかにならなかった。「ニューヨーク・タイムズ」と「ワシントン・ポスト」の2紙は、オンラインでもオフラインでも読者の獲得競争を繰り広げているからだ。

新しい挑戦は無駄ではない

だが、2紙が競合していない領域のひとつはテクノロジーだと、「ニューヨーク・タイムズ」のテクノロジー担当エグゼクティブ・ディレクターを務める、マーク・ラバリー氏はいう。「我々の提携によって、当社や他社のサイト向けのより優れたシステムができれば、我々はそれで十分だ。本当の競争は、何よりも最高の記事とコミュニティ体験をどの企業が作れるのかというところにある。その領域で我々は勝負をしているのだ」と、ラバリー氏は述べる。

競争と協力をうまく両立させるのは必ずしも簡単ではないが、ビジネスにとって重要な部分以外で共用化が進むようであれば、その提携は必ずうまくいくと、ジャックダウ・リサーチ(Jackdaw Research)の首席アナリスト、ジャン・ドーソン氏はいう。このような協力には、テクノロジー、印刷、インフラ配備などがあり、どの領域でもパブリッシャーは協力し合っている。ただし、問題は、こうした共同事業のどれがうまくいくのかということだ。

「こうした試みのいくつかが失敗することは間違いない。だが、企業が現実から目を逸らさずに新しいことへ果敢に挑戦するのは、元気づけられる話だ」とドーソン氏は語った。

Ricardo Bilton(原文 / 訳:ガリレオ)

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