ソフトバンクがPepperだらけの店を出す理由 客寄せパンダの「卒業実験」は成功するか?
審査が終わると、ペッパーの声で顧客にその旨を告げる電話がかかってくる。客は、呼ばれたら2階に戻り、「商品お渡しペッパー」のおでこに内蔵されているカメラにQRコードをかざす。読み取りに成功すると、独KUKAロボット社の産業用アームが、壁面につり下げられている商品を器用につかみ、台の上に置く。それを受け取れば、すべてが終了だ。
ソフトバンクが「ペッパーだらけのケータイショップ」を期間限定で開店したのは、今後こうした携帯ショップを増やしたいからではない。実際の携帯販売は契約内容が複雑多岐にわたるため、ペッパーのみですべてを行うのには、まだまだ時間がかかるだろう。となると、なぜこうした店を出したのだろうか。
法人向けのパフォーマンスか?
ソフトバンクのロボット子会社・ソフトバンクロボティクスと米マイクロソフトは、3月8日にクラウドロボティクス分野での戦略的協業を発表している。クラウドプラットフォーム「Microsoft Azure(マイクロソフト・アジュール)」から膨大なデータを取得し、ペッパーが顧客に商品提案したり、在庫管理をしたりする仕組みを構築。販促力の向上や、人手不足による接客力低下を軽減する一方、閉店後には売れ筋商品の分析をペッパーと行うという。今秋にサービスの提供を開始する予定だ。
今回の「ペッパーだらけのケータイショップ」はその実証実験。初日の客足は鈍かったのにもかかわらず、ソフトバンクのスタッフが涼しい顔をしていたのは、あくまでも法人向けのパフォーマンスだからに違いない。
1階のディスプレーには「Pepper for Biz(法人向けモデル)集客・売上UP、業務効率UPに新提案、スマートロボットをあなたの職場に 月々5万5000円」と映し出されていた。これはペッパーのレンタル価格(3年契約)だ。今秋から始まる、マイクロソフトのクラウドを使った新しいサービスではさらにプラスされた価格になるが、いまのところ未定だ。
これまでは、集客のための「客寄せパンダ」の役割ばかりが取りざたされたペッパーだが、客寄せパンダから見事卒業できるかどうかは、今回の「Pepperだらけのケータイショップ」がどこまで法人顧客の需要に刺さるかにかかっているのかもしれない。
(撮影:尾形文繁)
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