ザッカーバーグ「親中派戦略」は功を奏すか 派手なパフォーマンスで政府上層部を懐柔
このことは2月、中国版ツイッター「微博」で同国の不動産王、任志強のアカウントが強制的に閉鎖されたことでも明らかだ。任は非常に多くのフォロワーを抱えていたが、習が国内メディアに対し、政府に対する揺るぎない忠誠を求めたことを批判したのが災いした。
近年、中国上陸を果たした米国のネット関連企業は、あまり目立たないよう努めているようだ。配車サービスのウーバーのトラビス・カラニック共同創業者はしばしば訪中しているが、そのことが中国のネットで話題になることはほとんどない。リンクトインが中国進出に向けて、同国のベンチャーキャピタル企業2社を買収した時も、ブログで明らかにしたくらいで派手に喧伝したりはしなかった。
フェイスブックが握る外国企業の命運
もしザッカーバーグの戦略が功を奏したら、中国進出を当局に阻まれている他の外国企業にとって、巨大なこの国の市場に進出する糸口が見つかったことになる。つまり中国の厳しい言論規制を受け入れ、社会の動揺を招くことを避ければうまく行く、ということだ。
逆にこの戦略が失敗に終われば、外国のネット企業に対する中国政府の不信感をさらに強めるとともに、進出を認めさせるには目立たないようにアプローチするしかないという見方を裏付けることになるかも知れない。
劉常務委員とザッカーバーグの異例の会談からも、戦略の成否がもつ意味の大きさがうかがえる。共産党政治局常務委員会と言えば、中国の権力構造のトップだ。この会談は中国にとってはいい宣伝材料となった。米国のネット業界の大物が、中国の指導者とそのネット統治のやり方に対して喜んで敬意を表したことを示せるからだ。
フェイスブックが歓心を買わなければならない相手がいるとすれば、まさにそれは劉だ。彼は長年にわたって中国メディアへの統制の責任者を務めてきた。