鳩山政権発足の陰に隠れ、自民党総裁選スタート

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鳩山政権発足の陰に隠れ、自民党総裁選スタート

塩田潮

 鳩山内閣が9月16日に華々しく船出したが、その陰で今日18日、自民党の総裁選が告示となる。投票日は28日だ。

 総選挙前、自民党の劣勢が伝えられたとき、もし野党転落になるにしても、負けすぎにならないようにと願った国民は多かったと思われる。負けすぎると、2大政党政治の下での国民の政権選択という議会制民主主義の醍醐味が喪失しかねない。
 だが、自民党は大敗した。総選挙後の自民党の勢力は衆議院118、参議院85である。とはいえ、2007年の参院選の前の民主党は衆議院113、参議院83で、現在の自民党とほぼ同じだ。ということは、大敗した自民党でも政権奪還は不可能ではない。ぎりぎり政権交代可能な2大政党政治を維持する水準に踏みとどまったと見ることもできる。

 それでは、自民党はどうやれば再生が可能か。
 格好の手本がある。結党後13年で政権に到達した民主党を見習えばいい。民主党は最初、既存政党の合併や統合という方法を取らず、鳩山現首相や菅現副総理が党外で「新しい旗」を立て、この指止まれ方式で新党を立ち上げた。その後、新進党解体によって分散した勢力が次々と民主党に結集した。
 大政党に飛躍できたポイントは、純化路線を取らずに幅広い勢力を結集する包括政党を目指したこと、永田町的政治風土と自民党政党文化の打破を唱え、新しい人材の発掘と育成を心がけたこと、最初に参院選、次に総選挙を勝ち抜く作戦を取ったことなどが挙げられる。

 民主党は政権まで13年を要したが、同じ手を使えば、自民党は半分の6~7年、2度の参院選と総選挙で政権奪還は可能かもしれない。だが、それには、まず自民党の「新しい旗」、つまり「ニュー自民党」の再生モデルを明確に打ち出す必要がある。旗を掲げ、できれば自民党という枠を超えて「この指止まれ」と名乗りを挙げる。それくらいの人物が出てこなければ政権奪還はむずかしい。
 「顔」を誰にするかという話は二の次である。
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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