1億本突破!「い・ろ・は・す」はナゼ売れるのか?《それゆけ!カナモリさん》
しかし、環境に適応したいい商品(Product)であるというだけで売れるほど世の中は甘くはない。コカ・コーラシステムの圧倒的な販売力がバックボーンとなっていることは間違いない。コカ・コーラの力の源泉は、全国に約100万台を展開する自動販売機だ。
街に出れば、そこかしこにあるコカ・コーラの自販機に、数フェイス並んでいる「い・ろ・は・す」が目につくだろう。マーケティングミックスの4つのP(Product・Price・Place・Promotion)の一つである、Place(販路)の強さが売れている理由の一つだろう。
価格的には特に安売りをしているわけではない。しかし、上記のリリースに購入者の声が載っている。「520mlという容量にお得感がある」。つまり、競合より増量して割安感で勝負しているのである。Price(価格)も売れる原動力になっている。
Promotionも広告がよくできている。「飲み終わったらクシャッとつぶせる」という製品特性を表わすため、見事なまでにひねり絞られたボトルの上から、緑の葉っぱが顔を出している表現。エコ気分満点である。「子どもが喜んでボトルをつぶし、資源回収に出してくれる」との声があることもうなずける。
ここまで成功要因を挙げてきたが、それだけが大ヒットの理由だろうか。商品が売れるためには、マーケティングミックスの4つのPの整合性が欠かせない。しかし、それ以前に魅力あるターゲットを取り込むことができていることと、そのターゲットから評価されるポジショニングが獲得できていることが重要なのである。
もう一度、振り返って考えてみよう。
■整合性というマーケタ-の職人技
本当に環境負荷軽減、エコを考えるなら、例え国内取水であっても水道水を浄水して飲んだ方が輸送の環境負荷はかからない。省資源やリサイクルしやすいペットボトルは素晴らしいが、マイボトルを用いてペットボトルを消費しなければ、環境負荷は発生しない。