上場企業で約7割と日本企業の大半がこの3月で決算期末を迎える。業績好調な企業がある一方で、業績不振やそれに伴う人員整理、不採算事業からの撤退などに伴って大きな損失を出し、純損失(最終赤字)を強いられる企業の姿もある。
純損失とは、企業の営業活動によって生み出された売り上げから原価や費用だけでなく、本業以外の損益を合算し、法人税をはじめとする税金を支払ったうえで、最終的に会社が出してしまった損失。つまり、会社の純粋な赤字である。
東洋経済オンラインはそんな観点から、過去10年の累計で純損失になった443社をランキングした。昨年同時期も同じテーマのランキングを作成しているが、最新版のデータとなる。
調査対象としたのは2015年10月期までに本決算を迎え、上場を続けてきた企業で、10年前は未上場だった会社や変則決算などのためにデータがそろわない上場企業と金融機関は原則として除いた。それぞれ単年の最大純損失、最高純利益の金額も併載した。
昨年ランキングよりも累計赤字会社は40社減
ランキング1位は東京電力。この10年での通算純損失は1兆3163億円にも及んだ。もはや説明の必要がないかもしれないが、福島原発の事故に関連する巨額の賠償負担や廃炉費用などの損失で2011年3月期には1兆2473億円もの純損失を計上。その後も2013年3月期まで7000億円前後の最終赤字が 続いたことが響いた。東電ほどではないが大手電力会社は原発の停止に伴う採算の悪化が響き、累計赤字の会社が続出した。
2位はパナソニック(累計純損失9814億円)、3位シャープ(同9419億円)と順位は昨年と変わらない。ただ、パナソニックが赤字幅を縮小させる一方で、シャープは最新期も2000億円超の純損失を計上。明暗は分かれてきている。
5位 ソニー(同4479億円)は赤字幅が拡大し、昨年の11位よりも順位を上げてしまった。ただ、大幅な増益が見込まれる2016年3月期以降のランキングは、順位を下げることになりそうだ。
企業は原則として永続的に収益を出していかなければならないが、通算の純損失が出ている会社は過去10年間の営業活動において、純粋な利益を残 せず、その分、会社の資本を毀損してしまったことになる。ただ、昨年のランキングと比べると、全体的に赤字幅は縮小した。10年間の損益合計がマイナスの会社は昨年より40社ほど減った。