この3月は日本企業の大半、たとえば上場企業なら約7割に当たる2500社ほどが決算期末を迎える。少しでも収益を積み上げたいと動く時期ながら、企業は短期的に業績が良くても意味はなく、原則として永続的に収益を出していかなければならない。
長い期間で利益をキッチリと出し続けているのは、どんな企業なのか。東洋経済オンラインはそんな観点から、過去10年にわたって純利益を積み上げてきた企業を独自に調べ、トップ500社をランキングした。昨年同時期も同じテーマのランキングを作成しているが、最新版のデータとなる。
純利益とは、企業の営業活動によって生み出された売り上げから原価や費用だけでなく、本業以外の損益を合算したうえで、法人税をはじめとする税金を支払って、最終的に会社に残る利益。配当の原資にもなり、その名のとおり、会社が稼いだ純粋な利益である。
調査対象としたのは2015年10月期までに本決算を迎え、上場を続けてきた企業で、10年前は未上場だった会社や変則決算などのためにデータがそろわない上場企業や金融機関は原則として除いた。不正会計問題が発覚した東芝も集計対象外とした。
トップ500社の通算純利益は昨年から5兆円増
ランキング1位はトヨタ自動車。この10年で10兆円を超える純利益を残している。昨年ランキングでは9兆円台だったが、2015年3月期に単年度最高の2兆1733億円(それまでの最高は2014年3月期の1兆8231億円)を稼ぐなど、リーマンショック直後の2009年3月期に4369億円の純損失(最終赤字)を出したことなど、忘れ去ってしまうほどに稼ぎまくっている。今年度(2016年3月期)はさらに最高記録を更新する勢いだ。
2位は日本電信電話(NTT)、3位NTTドコモなど、8位の三井物産までは昨年と同じ顔ぶれとなった。一方、昨年9位だった武田薬品工業は最新期に上場以来初の純損失を計上して12位に後退。糖尿病治療薬をめぐる訴訟の和解金や関連費用の支払いが響いた。
10位には昨年15位だったソフトバンクグループが食い込んだ。15年3月期には米スプリントや中国アリババなど海外の関連会社が貢献し、過去最高となる純利益6683億円をたたき出した。多くの会社が昨年のランキングよりも通算純利益を増やした。トップ500社の合計利益額は昨年から5兆円アップの140兆円となった。
昨年の記事でも同じことを指摘したが、上位に並ぶのは日本を代表する優良企業ばかりだ。大きく利益を稼いで原資を確保し、設備投資、研究開発、M&A(企業の合併・買収)などへ積極的にカネを投じ、さらに企業体力を高めていくと、なかなか業界下位や規模の小さな企業が追いつくのは難しい。