米国型資本主義のある帰結、本社利益極大化の陰でコカ・コーラボトラーが迎える危機
原液代で日本市場の利益が環流
「米国の文化を代表する飲み物」であるコカ・コーラが日本に進出したのが1957年。今では日本最大の飲料グループに成長した。コカ・コーラのビジネスモデルは「飲料の製造販売フランチャイズチェーン」(業界首脳)である。世界で最も成功した飲料の製造販売フランチャイズである。仕組みはこうだ。
日本コカ・コーラ(米国本社の100%出資企業)が日本におけるFCチェーンの本部である。日本コカ・コーラはフランチャイズに加盟するボトラー(実際に飲料を生産・販売する企業)に原液を供給、利益を上げ、米国本社に還流させるほか、日本市場での製品開発やマーケティングを担当する。
コカ・コーラにとって日本市場は重要な存在だ。ある業界関係者は、「米国のコカ・コーラ本社にとって日本での売上比率は全体の10%だが、利益の20%は日本が占めているのではないか」と語る。
日本コカ・コーラは自社の売上高や利益はもちろん、日本市場でのボトラーの売上高合計の概算も公表していないので、この推測が当たっているかどうかはわからない。ただ、日本の飲料業界の関係者は口をそろえて、「コカ・コーラにとって日本市場の利益は大きい」と語る。
ところが、FCチェーンに加盟しているボトラーの業績が09年になって急速に落ち込んでいる。日本には北海道から沖縄まで12社のボトラーがある。この中で最大のボトラーが西日本を担当するコカ・コーラウエストだ。ところが、コカ・コーラウエストの09年12月上期は13億円の営業赤字となり、通期の営業利益は65億円と前期比40%減となる。
神奈川県から愛知県まで6県を担当する第2位のボトラー、コカ・コーラ セントラルジャパンは01年の上場以来初めて赤字になった。このほか北海道コカ・コーラや四国コカ・コーラも赤字になった。